基本情報技術者試験
基本情報技術者 科目A公開問題:設計とインフラ(E-R・多相性・クラウド・ping)の5問
基本情報技術者試験の科目A公開問題から、E-Rモデル、多相性、ハイブリッドクラウド、PaaS、pingなど設計とインフラの用語を問う5問を解けます。何を手がかりに答えを決めるかと誤答の型をまとめました。
基本情報技術者試験
令和7年度 科目A 公開問題 問11
IPA 公表問題
E-R モデルにおけるエンティティの特徴はどれか。
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正解:ウ(エンティティは,特性を表すための属性(アトリビュート)をもつ。) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 一つのエンティティに一つの実体が対応すると考えた
エンティティは「社員」のような種類を表し,インスタンスはその個々の実体(社員の一人一人)。一つのエンティティに多くのインスタンスが対応するので,1対1ではない。
イ × 誤り エンティティは,目に見える物だけが対象だと考えた
エンティティは,物だけでなく,「注文」や「契約」のような出来事や概念も対象になる。
ウ ○ 正しい
エンティティは,「社員番号」「氏名」のような属性をもつ。属性でエンティティの特徴を表すのがE-Rモデルの基本。
エ × 誤り エンティティ間の関係は,状態の変化で表すと考えた
状態遷移で表すのは,状態の移り変わり(状態遷移図)。E-Rモデルでは,エンティティ間の関係をリレーションシップとして表す。
基本情報技術者試験
令和7年度 科目A 公開問題 問12
IPA 公表問題
オブジェクト指向プログラミングの特徴のうち,異なるクラスのオブジェクトを同一のインタフェースで操作したときに,操作対象クラスに応じた異なる動作を可能にすることを何と呼ぶか。
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正解:エ(多相性) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 「委譲」は処理を代わりにやらせる意味なので,クラスごとに動作を振り分けることだと考えた
委譲は,自分が受けた処理を別のオブジェクトに任せること。同じ呼び出しでクラスごとに動作が変わる性質とは別の話。
イ × 誤り クラスの間に関係があるので,動作が変わる性質も継承だと考えた
継承は,既存のクラスの属性や機能を引き継いで新しいクラスを作ること。引き継ぐ仕組みであって,同じ呼び出しで動作が変わる性質そのものではない。
ウ × 誤り 組み合わせるクラスによって動作が変わるので,同じ呼び出しで動作が変わる仕組みだと考えた
コンポジションは,あるオブジェクトが別のオブジェクトを部品としてもつ(組み合わせる)関係。動作の切り替わりを表す用語ではない。
エ ○ 正しい
多相性(ポリモーフィズム)は,同じ名前の操作でも,対象のクラスによって違う動作をする性質。呼び出す側が相手のクラスを区別しなくてよくなる。
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令和5年度 科目A 公開問題 問15
IPA 公表問題
ハイブリッドクラウドの説明はどれか。
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正解:エ(自社専用に使用するクラウドサービスと,汎用のクラウドサービスとの間でデータ及びアプリケーションソフトウェアの連携や相互運用が可能となる環境を提供すること) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 自社向けに作り替えて使うのだから,公開と専用が混じった形だと考えた
提供されている機能を自社向けに調整して使うことは,カスタマイズの話。ハイブリッドクラウドの「ハイブリッド」は,種類の違うクラウドを組み合わせることを指す。
イ × 誤り 二つの対象を同時に扱うので,ハイブリッドと呼ぶと考えた
提供する相手(消費者向けか法人向けか)の違いは,クラウドの形態を分ける基準ではない。ハイブリッドクラウドは,利用の形態(自社専用か共用か)を組み合わせたもの。
ウ × 誤り 有償と無償の二本立てなので,ハイブリッドだと考えた
有償か無償かは料金の区分で,クラウドの形態とは関係がない。料金体系の話。
エ ○ 正しい
自社専用のクラウド(プライベートクラウド)と,誰でも使える汎用のクラウド(パブリッククラウド)を組み合わせ,データやアプリケーションを連携して使えるようにするのがハイブリッドクラウド。
基本情報技術者試験
令和8年度 科目A 公開問題 問4
IPA 公表問題
クラウドコンピューティングのサービスモデルとしての PaaS の説明はどれか。
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正解:イ(アプリケーションの開発や運用に必要となるミドルウェアなどが利用者に提供されるので,これらを利用して,アプリケーションを開発して運用することができる。利用者は,プラットフォームを直接変更することはできない。) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り OSまで触れるので,PaaSだと考えた
OSやアプリケーションまで自由に載せられるリソースを借りるのはIaaSの説明。PaaSでは,OSなどの基盤は提供側が用意し,利用者は載せ替えられない。
イ ○ 正しい
PaaSは,アプリケーションを動かす土台(プラットフォーム)を借りるサービス。利用者は用意されたミドルウェアなどの上でアプリケーションを開発・運用するが,土台そのものは変更できない。
ウ × 誤り 基盤を自分で準備する形でも,運用を任せるのでPaaSに近いと考えた
利用者が基盤とアプリケーションを自分で準備し,運用を任せる形は,基盤とアプリケーションを持ち込んで運用だけを任せる,ハウジングや運用委託などの説明。PaaSでは,プラットフォームは提供側が用意する。
エ × 誤り 「プラットフォームを変更できない」という書き方が同じなので,PaaSだと考えた
用意されたアプリケーションを利用するのはSaaSの説明。PaaSでは,利用者が自分でアプリケーションを開発する。
基本情報技術者試験
令和5年度 科目A 公開問題 問8
IPA 公表問題
IPv4 ネットワークにおいて,ネットワークの疎通確認に使われるものはどれか。
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正解:エ(ping) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 起動やアドレスの設定に関わるプロトコルなので,ネットワークがつながっているかの確認にも使えると考えた
BOOTPは,ネットワークに接続した機器へIPアドレスなどの設定情報を渡すためのプロトコル。相手まで届くかを調べる道具ではない。
イ × 誤り IPアドレスが割り当てられていれば通信できるはずなので,DHCPで疎通も確認できると考えた
DHCPは,IPアドレスなどを自動で割り当てるプロトコル。アドレスをもらえたことは,特定の相手と通信できることまでは示さない。
ウ × 誤り ネットワーク管理に使う用語なので,疎通確認のコマンドの一つだと考えた
MIBは,SNMPでネットワーク機器から取得する管理情報の定義(データベース)のこと。疎通を確かめる命令やプロトコルそのものではない。
エ ○ 正しい
pingは,ICMPのエコー要求を相手に送り,エコー応答が返ってくるかどうかで,相手まで通信が届くかを確かめるコマンド。ネットワークの疎通確認の定番の使い方。
解説
この5問で問われること
設計とインフラの問題は、用語の意味を取り違えないかを確かめる短い問題です。用語の問題は、問題文または選択肢の説明を、用語に言い換えられるかを試します。多相性とpingは問題文の説明から用語を決め、E-Rモデル、ハイブリッドクラウド、PaaSは選択肢の説明を一つずつ照らして誤りを外します。
5問はデータとクラスの設計(令和7年度のE-Rモデル、多相性)と、インフラ(クラウドの2問、疎通確認)に分かれます。クラウドの2問は、種類(専用か汎用か)と提供範囲(どこまで借りるか)という別の角度から聞いています。
令和7年度 問11(E-Rモデルのエンティティ):属性をもつもの
答えはウ(エンティティは、特性を表すための属性(アトリビュート)をもつ)です。E-Rモデルはデータを実体(エンティティ)と実体の関係で表す図です。エンティティは「社員番号」「氏名」のような属性をもち、属性でその実体の特徴を表します。
アはエンティティとインスタンスは1対1と書いていますが、一つのエンティティには複数のインスタンス(個々の実体)が対応します。イはエンティティになり得るものは目に見える物だけという記述ですが、注文や契約のような目に見えない出来事や概念もエンティティになります。エはエンティティ間の関係は状態遷移で表すと書いていますが、関係は線で結んで表し、状態遷移は別の図の話です。言葉の一つひとつは聞き覚えがあっても、E-Rモデルの中で何を指すかが合っているかを確かめます。
令和7年度 問12(多相性):同じ操作で、相手によって動作が変わる
答えはエ(多相性)です。多相性(ポリモーフィズム)は同じ名前の操作でも、対象のクラスによって違う動作をする性質です。呼び出す側が相手のクラスを区別しなくてよくなります。問題文の「同一のインタフェースで操作したときに、操作対象クラスに応じた異なる動作」がそのまま説明になっています。
継承は上位のクラスの性質を下位のクラスが引き継ぐことで、動作が変わる性質ではありません。委譲は処理を別のオブジェクトに任せることで、コンポジションは別のオブジェクトを部品として持つことです。「処理を振り分ける」という語感から委譲を選ぶと外します。クラスの関係を表す言葉と、操作が相手によって変わる性質を表す言葉を分けます。
令和5年度 問15・令和8年度 問4(クラウド):クラウドの種類と、サービスの範囲
令和5年度 問15の答えはエ(ハイブリッドクラウド)、令和8年度 問4の答えはイ(PaaS)です。どちらもクラウドコンピューティングの用語です。
ハイブリッドクラウドは自社専用のクラウド(プライベートクラウド)と、誰でも使える汎用のクラウド(パブリッククラウド)を組み合わせ、データやアプリケーションを連携して使えるようにする形です。アはカスタマイズの話、イとウは提供相手や料金の区分の話で、どれも専用と汎用の二つのクラウドをつなぐ話ではありません。「二つのものを混ぜるのでハイブリッド」と読むと外します。
PaaSはアプリケーションを動かす基盤(プラットフォーム)を借りるサービスです。利用者は用意されたミドルウェアなどの上でアプリケーションを開発・運用しますが、基盤そのものは変更できません。アはOSやアプリケーションを実行できるリソースを提供し、OSなどへの限定的な設定ができる形で、IaaSの説明です。ウはハードウェアやOSなどを自分で用意して運用を依頼する形で、ハウジングや運用委託に当たります。PaaSではプラットフォームを提供側が用意するので外れます。エは用意されたアプリケーションを使う形で、SaaSの説明です。「プラットフォームを直接変更できない」という書き方がイとエで共通しているため、利用者が開発・運用するのか、できあがったアプリケーションを使うのかで決めます。
令和5年度 問8(ネットワークの疎通確認):相手まで届くかを確かめる
答えはエ(ping)です。pingはICMPのエコー要求を相手に送り、エコー応答が返ってくるかどうかで、相手まで通信が届くかを確かめるコマンドです。ネットワークの疎通確認で最初に使います。
BOOTPとDHCPは、起動時にIPアドレスなどの設定を自動で割り当てるためのプロトコルです。割り当てられていれば通信できるはずだと考えて選ぶと外します。MIBはネットワーク機器の管理情報を持つデータベースで、疎通を確かめるコマンドではありません。問題文の「疎通確認」という動作を、プロトコルや管理用の用語ではなく、実行するコマンドとして一言で言い換えられれば、pingだと決まります。
言葉の字面で選ばない
E-Rを除く4問は、誤答が聞き覚えのある言葉です。多相性の問題の継承や委譲、ハイブリッドクラウドの問題のカスタマイズや料金区分の選択肢、PaaSの問題のIaaSやSaaS、pingの問題のDHCPやBOOTPがそうです。語感から選ぶと外します。問題文の説明が何を指すかを言い換えてから、選択肢の用語の意味と照らします。
科目Aのほかの開発・管理・技術の問題は「基本情報技術者 科目A公開問題:スクラムと日程管理(プロジェクトマネジメント)の7問」と「基本情報技術者 科目A公開問題:開発手法とツール(スタブ・コーディング規約・ローコード)の4問」に、セキュリティの7問は「基本情報技術者 科目A公開問題:セキュリティの7問(攻撃・暗号・認証・組織)」にあります。
参考にした資料(6件)
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