基本情報技術者試験
基本情報技術者試験の新シラバス案 Ver.0.1:今の試験との違い
IPAは2026年9月30日、2027年度春頃に始まる予定の新しい基本情報技術者試験のシラバス案 Ver.0.1を掲載しました。試験時間・出題数・擬似言語の扱いは今と同じです。重点分野の移動、AI駆動開発などの新しい用語、科目Bの変化を今のシラバスと比べました。
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新しい基本情報技術者試験(以下FE)は、科目A 90分60問・科目B 100分20問という形も、科目Bを擬似言語で出す扱いも、今と変わりません。大きく変わるのは科目Aの重点分野で、今の「セキュリティ」から、システムのライフサイクル・開発と運用の方法論・アルゴリズムとプログラミングの3つの中分類に移りました。用語例には、AIを使った開発(AIが生成したコードの検証など)や、生成AI・AIエージェントの技術の語が加わっています。この記事は、IPAが2026年9月30日に掲載したシラバス案 Ver.0.1と、今のシラバス Ver.9.2・試験要綱 Ver.5.6を、当サイトが読み比べた結果です(2026年10月3日確認)。
版と出典:シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)
| 今のFE | 新しいFE | |
|---|---|---|
| シラバス | Ver.9.2(2026年1月8日掲載) | シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載) |
| Ver.9.2のPDF | Ver.0.1のPDF | |
| 掲載ページ | 試験要綱・シラバスについて | 新試験制度のシラバス案について |
PDFのファイル名は、今のシラバスがsyllabus_fe_ver9_2.pdf、シラバス案がsyllabus_fe_ver0_1.pdfです。
シラバス案の表紙には、公表時点の検討状況に基づく内容で、変更の可能性があると書かれています。この記事の対照も Ver.0.1時点のものです。
試験の形はそのまま:科目A 90分60問、科目B 100分20問
| 項目 | 今のFE(試験要綱 Ver.5.6) | 新しいFE(IPAの検討状況、2026年3月31日公表) |
|---|---|---|
| 開始 | 実施中 | 2027年度春頃の予定 |
| 科目A | 90分、60問 | 90分、60問 |
| 科目B | 100分、20問(アルゴリズムとプログラミング16問、情報セキュリティ4問) | 100分、20問。分野別の問題数は記載なし |
| 科目Bのプログラム言語 | 擬似言語 | 擬似言語(シラバス案の科目Bの注記) |
| 科目Aの免除制度 | あり | 2027年度の新制度でも変更を予定していない |
| 実施方式 | CBT、通年 | 全区分をCBTで行う予定。これまでと同様に通年で行う予定 |
| 合格率 | 38.3%(令和7年度=2025年4月〜2026年3月の累計。受験者147,186人、合格者56,370人) | 未発表(2026年10月3日確認) |
今のFEの合格率は、IPA「統計情報(基本情報技術者試験)」の推移表の、令和7年度の年度合計の値です(最終更新2026年9月28日、2026年10月3日確認)。新しいFEはまだ実施されていないので、この値を新しいFEの目安にはできません。
IPAの検討状況のページは、FEと情報セキュリティマネジメント試験の変更について、技術動向や環境の変化に合わせた表記の変更などで、問う知識・技能の範囲そのものは変わらないと注記しています。科目Aの免除制度を使う予定の人は、同じページの注記で、2027年度の新制度でも制度の変更を予定していないとされている点を確かめておくと安心です。
科目A:重点分野がセキュリティから「システムの開発・運用」へ
今の試験要綱の出題範囲の表では、FEの重点分野はセキュリティの1つの中分類です。新しい案では、重点分野がシステムライフサイクルプロセス、開発・運用の方法論、アルゴリズム・プログラミングの3つになり、セキュリティは脅威・マネジメント・対策・実装技術の4つの中分類に分かれて、その他の分野の側に入りました。2026年3月の改定案(Ver.1.0)の出題範囲の表でも、FEの重点の印はこの3つに付いています。
分類の体系は、今のFEの9大分類・23中分類から、全試験区分に共通する30の中分類に変わります。FEはそのうち、ITパスポート試験向けの「マインド・スタンス」を除く29を使います。IPAの新旧対応表を見ると、今の分類には、ネットワークやプロジェクトマネジメントのように1つの中分類へまとめて移るものと、分解されて複数の中分類に分かれるものがあります。たとえば今の「基礎理論」は、離散数学・応用数学・情報に関する理論・通信に関する理論がアルゴリズムとプログラミングへ、確率と統計がデータ分析・データ利活用へ、AIに関する技術がAI技術へ移り、計測・制御に関する理論もほかの2つの中分類に分かれます。今の「セキュリティ」は、脅威・管理・対策・実装と評価の4つへ分かれます。データマネジメントは、新旧対応表で「現行試験において該当する分類なし」とされている新しい中分類で、FEではデータの品質や整合性を意識した設計・実装のための知識と位置づけられています(シラバス案13ページ)。
重点分野が移ることが、科目Aの問題数の配分にどう表れるかは、シラバス案にも検討状況のページにも書かれていません。セキュリティの問題が減ると読むのは早く、科目Bの情報セキュリティの大項目は残っているので、セキュリティの学習量を大きく減らす根拠にはならない、と当サイトはみています。
用語例で増えたもの:AI駆動開発、生成AIとAIエージェントの技術
当サイトが、今の Ver.9.2と案 Ver.0.1のテキストを語で検索して比べました。案にあって Ver.9.2に見つからなかった語のうち、目立つものを挙げます。
| 分野(当サイトの整理) | 案で目立つ語 | 案のPDFのページ |
|---|---|---|
| AIを使った開発 | AIが生成したコードの検証、仕様駆動開発、バイブコーディング | 6 |
| 生成AIの技術 | 検索拡張生成(RAG)、蒸留 | 22 |
| AIエージェントの技術 | MCP、長期記憶 | 23 |
| 数学 | テンソル | 7 |
| 開発フレームワーク | Next.js、PyTorchなどの具体的なフレームワーク名 | 6 |
| セキュリティ | ゼロトラスト、パスキー | 25、26 |
ページはPDFに印刷されたページ番号です。AIを使った開発の用語例には、ほかにもAIエージェントに渡す指示ファイルや、設計の判断を残す記録など、開発の進め方に関わる語があります。大規模言語モデル、プロンプトインジェクション、ハルシネーション、パスワードレス認証(FIDO)は今の Ver.9.2にもあります。AIを使った開発の小分類は、開発・運用の方法論(重点分野)の中に置かれていて、AIに書かせたコードを人が仕様と照らし、品質とライセンスを確かめる流れが一続きの用語例になっています。AIの出力を確かめる考え方は、ほかの試験での問われ方と合わせて「生成AIの業務利用」にまとめています。
科目B:5つの大項目はそのまま、小項目が書き出された
科目Bの5つの大項目(プログラミング全般、処理の基本要素、データ構造とアルゴリズム、諸分野への適用、情報セキュリティの確保)は、今の試験要綱と同じ並びです。今のシラバス Ver.9.2は科目Aと科目Bを同じ分類の中で書いていますが、案では科目Bの「目標とする技能」が独立した章になり、15の小項目に分けて書かれました。
中身で当サイトが気づいた違いは3つです。1つ目は、プログラミング全般で「プログラムの詳細設計」が独立した小項目になり、設計した処理を擬似言語や流れ図で表すことが明記されたことです。2つ目は、動詞の変化です。今の試験要綱は、処理の流れや変数の変化を「想定」し、誤りの修正方法を「検討」する書き方でした。案では、変数や配列の値の変化を順に「追跡」し、誤りを特定して「修正」し、誤りが解消したことを確かめる書き方になりました。トレースの問題とデバッグの問題が、今と同じく中心にあると読めます。3つ目は、情報セキュリティの確保で、要求事項の例から組織的管理策の語が外れ、物理的・技術的な管理策が例として残ったことです。
諸分野への適用の小項目には、統計量の算出、データの集計・加工、行列やベクトルの演算が例に挙がっています(33ページ)。今の科目Bでも数理・データサイエンス・AIを題材にした問題は出題範囲なので、擬似言語で配列を2重ループで回す練習は、新しいFEでもそのまま役に立つと当サイトはみています。
今の教材で学ぶときに補うところ(当サイトの見方)
科目Bは、今の擬似言語の問題集で準備を進めてかまわないと考えます。科目Aは、今の教材でカバーできる部分が大半ですが、上の表のAIを使った開発とAIエージェントの語は今のシラバス Ver.9.2にないので、今の教材では扱いが薄いと考えられます。重点分野になった3つの中分類の用語例(シラバス案2〜8ページ)に目を通し、知らない語に印を付けておくのが効率的です。
今のFEを受けるなら:選べる試験日は2026年12月27日まで
IPAによると、今の試験制度は2026年度の試験の実施をもって終了する予定です(IPA「見直しの検討状況」)。今のFEのCBT試験は、2026年12月28日以降に休止する予定で、2026年9月1日以降の申込みで選べる試験日は、申込みの日から2026年12月27日までの開催日です。会場によっては、それより前に休止となる場合があります(IPA「CBT方式で実施する…2026年5月以降の試験実施について」、最終更新2026年8月3日、2026年10月9日確認)。申込みから予約までの日数、不合格のあとに受け直せる日、受験手数料と返金の扱いは、今のFEの受け方にまとめています。
まだ分からないこと
次の項目は、IPAが未発表(2026年10月3日確認)です。新しいFEの具体的な開始日、2027年1月以降の今のFEの実施、新しいFEの科目Bの分野別の問題数、受験手数料と合格基準、シラバスの確定版の時期です。新しいFEのサンプル問題は、IPAのサンプル問題のページ(最終更新2026年8月31日)に掲載がありません。
情報セキュリティマネジメント試験との違いは、今の試験と新しいシラバス案の両方を、FEとSGの違いで比べています。新制度全体の日程と、ほかの試験の公表状況は移行ガイドにまとめています。
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今の FE を受ける人向けの、イラストで解説する教科書です。令和08年版から科目B の対策の項目が加わりました(2026年10月4日確認)。今の FE の CBT は2026年12月28日以降に休止する予定です(IPA)。
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参考にした資料(11件)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)
