情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験の新シラバス案 Ver.0.1:今の試験との違い
IPAは2026年9月30日、2027年度春頃に始まる予定の新しい情報セキュリティマネジメント試験のシラバス案 Ver.0.1を掲載しました。試験時間と出題数は今と同じです。科目Aの分類の組み直し、AIとゼロトラストの用語、科目Bの変化を今のシラバスと比べました。
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新しい情報セキュリティマネジメント試験(以下SG)は、試験時間と出題数が今と同じで、科目Bの12の大項目の並びもそのままです。変わるのは、科目Aの分類の組み立てと、用語例の中身です。AIの利用とAIへの攻撃、ゼロトラスト、パスキー、新しい法律の語が加わり、プロジェクトマネジメントやデータベースの分類はなくなりました。この記事は、IPAが2026年9月30日に掲載したシラバス案 Ver.0.1と、今のシラバス Ver.4.1・試験要綱 Ver.5.6を、当サイトが読み比べた結果です(2026年10月3日確認)。
版と出典:シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)
比べたのは次の2つです。
| 今のSG | 新しいSG | |
|---|---|---|
| シラバス | Ver.4.1(2025年4月17日掲載) | シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載) |
| Ver.4.1のPDF | Ver.0.1のPDF | |
| 掲載ページ | 試験要綱・シラバスについて | 新試験制度のシラバス案について |
PDFのファイル名は、今のシラバスがsyllabus_sg_ver4_1.pdf、シラバス案がsyllabus_sg_ver0_1.pdfです。
シラバス案の表紙には、公表時点の検討状況に基づく内容で、変更の可能性があると書かれています。確定版で項目や用語例が動くことがあるので、この記事の対照も Ver.0.1時点のものとして読んでください。
試験の形はそのまま:120分、科目A 48問・科目B 12問
| 項目 | 今のSG(試験要綱 Ver.5.6) | 新しいSG(IPAの検討状況、2026年3月31日公表) |
|---|---|---|
| 開始 | 実施中 | 2027年度春頃の予定 |
| 試験時間 | 科目A・Bをまとめて120分 | 科目Aと科目Bを合わせて120分 |
| 出題数 | 60問(科目A 48問、科目B 12問) | 科目A 48問、科目B 12問 |
| 実施方式 | CBT、通年 | 全区分をCBTで行う予定。これまでと同様に通年で行う予定 |
| 合格率 | 70.0%(令和7年度=2025年4月〜2026年3月の累計。受験者45,924人、合格者32,141人) | 未発表(2026年10月3日確認) |
今のSGの合格率は、IPA「統計情報(情報セキュリティマネジメント試験)」の推移表の、令和7年度の年度合計の値です(最終更新2026年9月28日、2026年10月3日確認)。新しいSGはまだ実施されていないので、この値を新しいSGの目安にはできません。
IPAの検討状況のページは、SGと基本情報技術者試験の変更について、技術動向や環境の変化に合わせた表記の変更などで、問う知識・技能の範囲そのものは変わらないと注記しています。シラバス案を読んでも、科目Bの業務の場面(部門の情報資産の管理、リスクアセスメント、委託先の管理、インシデント対応)は今のSGと同じです。
科目A:分類が全区分共通の体系に変わり、重点分野が組み直された
今のSGのシラバスは、SG用に組んだ11の中分類で科目Aを書いています。新しい案は、全試験区分に共通する30の中分類(新しい体系)のうち、SGに関係する15を使います。番号も名前も変わるので、今の教材の章立てとは1対1で対応しません。
重点分野の組み方も変わりました。今の試験要綱では、SGの重点分野は「セキュリティ」と「法務」の2つの中分類です。シラバス案では、セキュリティが「脅威」「マネジメント」「対策」の3つの中分類に分かれ、法務はプライバシー関連法規とセキュリティ関連法規の2つだけが重点分野に残りました。著作権・労働・取引の法規は、ビジネス関連法規として「その他の分野」に移っています。なお、2026年3月の出題範囲等の改定案(Ver.1.0)の表では、SGの重点分野の印はセキュリティの3つの中分類だけに付いていて、シラバス案とずれています。どちらが確定するかは、確定版で確かめる必要があります。
その他の分野からは、今のシラバスにあったプロジェクトマネジメント、データベース、システム構成要素、システム戦略・システム企画の中分類がなくなりました。代わりに、AI利活用、情報倫理・AI倫理、データ分析・データ利活用、クラウドが入っています。各中分類には、SGの受験者がその知識をどの場面で使うかが1〜2文で書かれていて、たとえばネットワークとクラウドは、部門から利用の要望が出たときに、組織のルールに照らして意見や問題点を出すための知識と位置づけられています(当サイトの要約)。技術の仕組みそのものより、利用部門の立場で判断する材料として問う、という線引きが読み取れます。
用語例で増えたもの:AIへの攻撃、AIエージェント、ゼロトラスト、パスキー
当サイトが、今の Ver.4.1と案 Ver.0.1のテキストを語で検索して比べました。案にあって Ver.4.1に見つからなかった語のうち、学習の量に効きそうなものを分野別に挙げます。
| 分野(当サイトの整理) | 案で目立つ語 | 案のPDFのページ |
|---|---|---|
| AIを使った攻撃、AIへの攻撃 | 音声クローンによるなりすまし、ジェイルブレイク、データポイズニング。プロンプトインジェクションは直接・間接に分けて記載 | 2 |
| AIの利用と統制 | AIエージェントの自律性と人間の関与(最終承認、例外処理)、ガードレール、シャドーAI、ハルシネーション、AI利用ポリシー | 10、13 |
| AIシステムを守る対策 | プロンプトインジェクション対策、RAG用のデータとデータストアへのアクセス制御 | 12 |
| 考え方と認証 | ゼロトラスト、パスキー | 3、6 |
| ランサムウェア対策 | イミュータブルバックアップ | 6 |
| 法令と国の体制 | サイバー対処能力強化法(能動的サイバー防御)、重要経済安保情報保護法、AI基本法、中小受託取引適正化法、国家サイバー統括室(NCO) | 4、8、13 |
| 製品の評価制度 | JC-STAR(IoT製品のセキュリティ要件の適合評価とラベリングの制度) | 12 |
ページはPDFに印刷されたページ番号です。今の Ver.4.1にも、AIを悪用した攻撃(フィッシングやなりすましの巧妙化など)と、AIに対する脅威(敵対的サンプル、プロンプトインジェクション)の語はあります。認証でも、Ver.4.1にパスワードレス認証(FIDOなど)の語があり、案ではその例がパスキーになりました。案では、攻撃にAIを使う場合とAIのシステムが狙われる場合がそれぞれ独立した項目になり、守る側にもAIのシステムのための対策の項目ができました。生成AIサービスの利用時の情報セキュリティも、外部委託やクラウドと並べて、情報セキュリティマネジメントの考え方の項目に入っています。入力と出力の留意点の整理は「生成AIの業務利用」にまとめています。
科目B:大項目12個はそのまま、要求事項の提示が1項目にまとまった
科目Bは、計画と要求事項(大項目1〜4)、運用と継続的改善(大項目5〜12)の2つのまとまりで、大項目の名前も順番も今と同じです。当サイトが見つけた違いは次の3点です。
1つ目は、大項目3「情報資産に関する情報セキュリティ要求事項の提示」です。今は「物理的管理策」と「部門の情報システムの調達・利用に関する技術的管理策及び組織的管理策」の2つの小項目に分かれていますが、案では、組織的・人的・物理的・技術的の4つの区分の要求事項をまとめて提示する1つの小項目になりました。科目Aの情報セキュリティ管理策も同じ4区分で整理されているので、科目Bの事例問題でも「どの区分の対策か」を言い分けられるかが問われやすくなる、と当サイトはみています。
2つ目は、大項目7の2番目の小項目の名前が「外部委託先の情報セキュリティ管理の実施」から「外部委託先の管理における情報セキュリティの確保」に変わったことです。中身は、委託業務の要求事項の説明と、契約内容との食い違いの解消で、今と同じです。
3つ目は書き方です。今は「〜できる」で書かれ、小項目ごとに用語例の列がありますが、案では「〜するスキル」で書かれ、用語例の列はありません。用語は科目Aの側にまとめられています。
今の教材で学ぶときに補うところ(当サイトの見方)
範囲そのものは変わらないというIPAの説明と、上の対照を合わせると、今のSGの教材でも大部分は学べるとみています。補う必要があるのは、AIに関わる攻撃・利用・統制の語、ゼロトラストとパスキー、Ver.4.1にない法令と国の体制の名前です。いずれも用語例の段階で、案のPDFの該当ページを開いて、知らない語を洗い出すのが早道です。
逆に、今の教材にあるプロジェクトマネジメントやデータベースの章は、案では中分類として見当たりません。学習の優先度は下げてよいと考えますが、Ver.0.1は案なので、確定版が出たら見直してください。
今のSGを受けるなら:選べる試験日は2026年12月27日まで
IPAによると、今の試験制度は2026年度の試験の実施をもって終了する予定です(IPA「見直しの検討状況」)。今のSGのCBT試験は、2026年12月28日以降に休止する予定で、2026年9月1日以降の申込みで選べる試験日は、申込みの日から2026年12月27日までの開催日です。会場によっては、それより前に休止となる場合があります(IPA「CBT方式で実施する…2026年5月以降の試験実施について」、最終更新2026年8月3日、2026年10月9日確認)。申込みから予約までの日数、不合格のあとに受け直せる日、受験手数料と返金の扱いは、今のSGの受け方にまとめています。
まだ分からないこと
次の項目は、IPAが未発表(2026年10月3日確認)です。新しいSGの具体的な開始日、2027年1月以降の今のSGの実施、新しいSGの受験手数料と合格基準、シラバスの確定版の時期です。新しいSGのサンプル問題は、IPAのサンプル問題のページ(最終更新2026年8月31日)に掲載がありません。
ほかの試験との違いは、今の試験と新しいシラバス案の両方を、FEとSGの違いとITパスポートとSGの違いで比べています。新制度全体の日程と、ほかの試験の公表状況は移行ガイドにまとめています。
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令和08年 情報セキュリティマネジメント 合格教本(技術評論社)
今の SG を受ける人向けの教科書で、科目A・科目B の両方を扱います(2026年10月4日確認)。新しいシラバス案(Ver.0.1)には対応していません。
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参考にした資料(10件)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)
