情報セキュリティマネジメント試験

ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験の違い:今と2027年度から

ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験(SG)を、今の試験と、2027年度春頃に始まる予定の新しい試験の両方で比べました。1問あたりの時間、合格率の差、新シラバス案で重なる14の分類、12月27日までの申込みの違いをまとめています。

結論:ITパスポートは100問で広く知識を問い、SGは情報セキュリティに絞って技能まで問う

ITパスポート試験は、ITに関する共通的な基礎知識を、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の100問(四肢択一)で問う試験で、情報セキュリティはその一部です。情報セキュリティマネジメント試験(以下SG)は、利用部門で情報セキュリティを管理する人が対象で、科目Aの48問で知識を、科目Bの12問で技能を問います。試験時間は同じ120分、受験手数料も同じ7,500円です。令和7年度の合格率はITパスポートが48.6%、SGが70.0%で、SGが21.4ポイント高くなっています。2027年度春頃に始まる予定の新しい試験のシラバス案では、SGの科目Aの15の中分類のうち14が、ITパスポートにも同じ名前であります。

項目 今のITパスポート 今のSG
対象者像(IPA) ITの共通的な基礎知識をもつ、職業人とこれから職業人になる人 情報システムの利用部門の情報セキュリティリーダー
問うもの 知識 科目Aで知識、科目Bで技能
試験時間 120分 120分(科目Aと科目Bをまとめて実施)
出題数 100問(四肢択一) 60問(科目A 48問、科目B 12問)
出題の分野 ストラテジ系35問程度、マネジメント系20問程度、テクノロジ系45問程度 科目Aの重点分野はセキュリティと法務。科目Bは情報セキュリティマネジメントの計画と運用
合格基準 総合評価点600点以上、かつ3つの分野別評価点がそれぞれ300点以上 総合評価点が600点以上
受験手数料 7,500円(消費税込み) 7,500円(消費税込み)
合格率(令和7年度) 48.6% 70.0%

対象者像、問うもの、試験時間、出題数はIPA「試験要綱 Ver.5.6」(2026年7月6日)によります。ITパスポートの分野ごとの問題数と合格基準はITパスポート試験「試験内容・出題範囲」、受験手数料は同「受験要領」、SGの合格基準と受験手数料は運営会社の試験概要の値です。合格率は、ITパスポートがIPA「令和7年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について」(公開2026年4月21日)、SGがIPA「統計情報(情報セキュリティマネジメント試験)」の推移表(令和8年8月時点、最終更新2026年9月28日)の値で、どちらも2025年4月〜2026年3月の合計です。どれも2026年10月11日に確認しました。対象者像の欄は当サイトが短くまとめたもので、IPAの原文は試験要綱の2ページにあります。

試験要綱は、SGを共通キャリア・スキルフレームワークのレベル2に相当するとしています。ITパスポートの表には、レベル対応の行がありません(試験要綱 Ver.5.6の2〜3ページ)。

1問あたりの時間はITパスポートが1分12秒、SGが2分:組で比べた値

1つの試験のページを見ただけでは出てこない値を、当サイトが計算して並べました。

比べた値 結果 もとの値
1問あたりの時間 ITパスポート1分12秒、SG 2分 どちらも120分。出題数は100問と60問
評価に使う問題の数 ITパスポート92問、SG 54問 残りの8問と6問は、今後出す問題を評価するために使われる
合格率の差(令和7年度) SGが21.4ポイント高い ITパスポート48.6%(受験者271,352人、合格者132,012人)、SG 70.0%(受験者45,924人、合格者32,141人)
受験者の数(令和7年度) ITパスポートがSGの約5.9倍 271,352人と45,924人
両方を受けるときの受験手数料 15,000円 7,500円が2回。支払い方法によっては払込手数料が別にかかる
新シラバス案の中分類 共通が14、ITパスポートだけが12、SGだけが1 ITパスポート26、SGの科目A 15
不合格のあとの受け直し ITパスポートは待ち期間なし、SGは30日を超えてから ITパスポート試験のよくある質問、運営会社の再受験の規定

評価に使う問題の数は試験要綱の注1と注3、合格率と受験者の数は上の節と同じ資料の値です。1問あたりの時間、差、倍率は当サイトの計算です(2026年10月11日確認)。合格率の差は、公表された合格率(小数第1位まで)どうしの引き算です。中分類の数は、ITパスポートのシラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載)とSGのシラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)の見出しを、当サイトが数えて照らし合わせた結果です。

SGの合格率が高いからといって、SGのほうがやさしいとは言えません。2つの試験は対象者像が違い、受験者の数にも約5.9倍の開きがあります。合格率の差には、受ける人の顔ぶれの違いが含まれます。

範囲の重なり:新シラバス案では、SGの科目Aの15分類のうち14が新ITパスポートにもある

新しい制度は、全試験区分の知識を共通の30の中分類で整理しています。新ITパスポートはそのうち26、新しいSGの科目Aは15を使います。当サイトが2つのシラバス案の見出しを照らし合わせると、SGの15のうち14は、新ITパスポートの26にも同じ名前でありました。SGにだけあるのは「セキュリティ実装技術・評価」の1つです。新ITパスポートにだけある12には、経営戦略・デジタル戦略、プロジェクトマネジメント、データベース、AI技術、マインド・スタンス、データマネジメントが入っています。

SGの重点分野の5つ(セキュリティの脅威・マネジメント・対策、プライバシー関連法規、セキュリティ関連法規)は、どれも新ITパスポートの「セキュリティ・倫理」の分野にある中分類です。新ITパスポートの3つの分野のうち、SGの重点分野と中分類の名前が重なるのは、この分野だけです。ただし、SGの重点分野が5つなのはシラバス案 Ver.0.1で、2026年3月の出題範囲等の改定案 Ver.1.0の表では、重点の印はセキュリティの3つだけに付いています。どちらになるかは確定版で確かめる必要があります。

名前が同じでも、深さと立場は違います。中分類ごとの【内容】の文は、新ITパスポートの案では27のうち24が「基礎知識を問う」で終わり、SGの案では17のすべてが「基本的な知識を問う」で終わります(当サイトがPDFのテキストを数えた結果)。セキュリティの3つの中分類で、当サイトが読み比べた例を挙げます。

シラバス案の箇所 新ITパスポート 新しいSG
脅威の中分類の説明 異常に気付き、そのあと適切に報告するための基礎知識(15ページ) 部門のメンバーから感染の疑いなどの報告を受けたときに、判断して対応するための基本的な知識(2ページ)
攻撃手法の用語例 SQLインジェクション、フィッシング、DoS攻撃など(15ページ) 左の語に加えて、サイバーキルチェーン、クロスサイトリクエストフォージェリ、ジェイルブレイク、データポイズニングなど(2ページ)
リスク対応の用語例 リスク回避、リスク共有、リスク保有(16ページ) 回避・低減・移転・保有の4つの選択肢と、残留リスク、リスク対応計画(3ページ)
ISMSと管理策 用語例に見当たらない それぞれ小分類があり、管理策は組織的・人的・物理的・技術的の4つの区分(4〜5ページ)

ページはPDFに印刷されたページ番号、説明の欄は当サイトの要約です。「見当たらない」は、当サイトがPDFのテキストを語で検索した結果です。用語例は例で、Ver.0.1は案なので、確定版で変わることがあります。脅威の説明を比べると、新ITパスポートは異常に気付いて報告する側、SGは報告を受けて判断する側の知識として書かれています。

SGにしかないもの:部門の担当者としての判断を問う科目Bの12問

ITパスポートに科目Bはなく、試験要綱はITパスポートを、知識を問う試験としています。SGの科目Bの12問は技能を問う問題で、出題範囲は、情報資産台帳の作成、リスクアセスメントとリスク対応、外部委託先の管理、インシデントの発見と初動処理、部門のメンバーへの教育と順守の指導などです。新しいSGのシラバス案でも、12の大項目の名前と順番は今と同じです。

外部委託の扱いを例にとります。当サイトが2つのシラバス案のPDFの全体を、空白と改行を除いたテキストで検索したところ、「委託」の語は新ITパスポートの案に1回、SGの案に21回ありました。SGの21回のうち17回は科目Bの部分で、ITパスポートに科目Bはありません。SGの科目Bの大項目7は、委託先の情報セキュリティの調査、委託中の管理、委託の終了の3つの小項目に分かれ、契約担当者と協力して確かめる技能が書かれています(SGの案18〜19ページ)。

新ITパスポートのサンプル問題は4問が公開されていて、マインド・スタンス、データマネジメント、情報倫理・AI倫理から出ています。新しいSGのサンプル問題は、IPAのサンプル問題のページ(最終更新2026年8月31日)に掲載がありません(2026年10月11日確認)。新ITパスポートの4問は新ITパスポートのサンプル問題で解けます。

新しい試験(2027年度春頃の予定):ITパスポートは範囲が組み直され、SGは範囲そのものは変わらない

項目 新ITパスポート 新しいSG
開始 2027年度春頃の予定 2027年度春頃の予定
試験時間と出題数 120分、100問 科目Aと科目Bを合わせて120分、科目A 48問、科目B 12問
出題形式 多肢選択式(四肢択一)。全問必須解答 科目Aは多肢選択式(四肢択一)、科目Bは多肢選択式。全問必須解答
範囲の変わり方 3つの系から「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に再整理 科目Aの出題範囲の体系と、科目Bの出題範囲の一部を変更。IPAは、問う知識・技能の範囲そのものは変わらないと注記
案で加わるもの マインド・スタンス、データマネジメント AIへの攻撃の新しい語(ジェイルブレイク、データポイズニングなど)、AIエージェントの語、ゼロトラスト、パスキー
案で見当たらなくなるもの システム開発の工程、アルゴリズムとプログラミング プロジェクトマネジメント、データベースの中分類
シラバス 案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載) 案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)
受験手数料、合格基準 未発表(2026-10-11 確認) 未発表(2026-10-11 確認)
合格率 未発表(2026-10-11 確認) 未発表(2026-10-11 確認)

開始の時期、試験時間、出題数、出題形式、範囲の変わり方はIPA「見直しの検討状況」(公開2026年3月31日、最終更新2026年4月28日)、シラバス案の版はIPA「新試験制度のシラバス案について」(最終更新2026年9月30日)によります(2026年10月11日確認)。案で加わるものと見当たらなくなるものは、当サイトが今のシラバス(ITパスポートは Ver.6.5、SGは Ver.4.1)と読み比べた結果で、詳しくはITパスポートの新旧シラバスの対照とSGの新シラバス案にまとめています。

いま受けるか待つか:12月27日までの申込みの決まりは2つの試験で違う

ITパスポートもSGも、今のCBT試験は2026年12月28日以降に休止する予定で、選べるのは2026年12月27日までの開催日です。会場によっては、それより前に休止となる場合があります。2027年1月以降の実施について、IPAは2026年秋頃にウェブページで知らせるとしていますが、2026年10月11日の時点で発表はありません(IPA「CBT方式で実施する…2026年5月以降の試験実施について」、最終更新2026年8月3日)。

同じ12月27日でも、申込みの決まりが違います。

決まり ITパスポート SG
申込みの窓口 ITパスポート試験のウェブサイト 運営会社(シー・ビー・ティ・ソリューションズ)のウェブページ
予約できる最初の試験日 クレジットカードなら申込日の翌日(午後の申込みは翌々日)、コンビニ払いは5日後 申込日の3日後
12月27日の回に間に合う最後の申込み クレジットカードで12月26日の11:59 12月24日
不合格のあとの受け直し 待ち期間なし。申込みは受験日の翌日から 前回の受験日の翌日から30日を超えた日以降
12月27日までに2回受けられる1回目の受験日 12月25日まで(翌日の午前にクレジットカードで申し込む場合) 11月26日まで

表の3行目と5行目の日付は、ITパスポート試験「受験申込手順」・「よくある質問」と運営会社の試験概要の決まりから、当サイトが計算したものです。どれも、12月27日に試験を開催していて空席がある会場の場合です。計算のしかたと、支払い方法ごとの締切はITパスポートの学習計画と今のSGの受け方に書いています。

待つ場合に準備をどれだけ変えるかも、2つの試験で違います。SGは、新しい試験でも問う範囲そのものは変わらないとIPAが注記していて、今の教材での準備に、新しいシラバス案で増えた用語を足す形です。ITパスポートは範囲が組み直され、今のシラバスにあるシステム開発の工程やアルゴリズムとプログラミングが案では見当たらなくなり、マインド・スタンスとデータマネジメントが加わります。今の教材で準備してきた人が待つ場合、足す分野と使わなくなる章の両方が、SGより多くなると当サイトはみています。

どちらから受けるかの目安(当サイトの見方)

右の列は、上の事実をもとにした当サイトの見方で、どちらかが有利になることを保証するものではありません。

あなたの状況 考え方の目安と、もとにした事実
経営や会計、ネットワークを含めて、ITの基礎を広く確かめたい ITパスポートが合う。新シラバス案でも26の中分類を使い、SGの科目Aにない12の中分類がある
会社や学校でITパスポートの取得を求められている ITパスポートから。12月27日までに受けられないときは、範囲が組み直される新しい試験に合わせて準備する
利用部門で、情報資産の管理、委託先の確認、インシデントの連絡を担当している SGが合う。科目Bの12問が、その業務の計画と運用から出る。ITパスポートに科目Bはない
ITパスポートに合格していて、次を考えている SGは、セキュリティの3つの中分類が共通で、用語例が増え、科目Bが加わる。IPAは新設のデータマネジメント試験(仮称)を、ITパスポートの次のステップと位置づけている
ITパスポートを受けずに、SGから始めたい 試験要綱は、SGに期待する技術水準に「IT全般に関する基本的な用語・内容を理解できる」を挙げている。新シラバス案のSGの科目Aには、ネットワーク、クラウド、経営・組織論などの中分類も入る
両方を12月27日までに受けたい 受験手数料は合計15,000円。申込みの窓口は別々で、試験区分をまたぐ待ち期間は、どちらの決まりにも書かれていない。申し込む前に、それぞれの申込みの画面で選べる日を確かめる。SGの受け直しを見込むなら、SGの1回目は11月26日までになる

データマネジメント試験(仮称)は2027年度夏頃から秋頃に始まる予定です。サンプル問題はデータマネジメント試験のサンプル問題で解けます。

まだ発表されていないこと(2026年10月11日確認)

  • 新ITパスポートと新しいSGの具体的な開始日、受験手数料、合格基準
  • 2027年1月以降の、今のITパスポートとSGの実施(IPAは2026年秋頃に知らせるとしている)
  • 新ITパスポートの分野ごとの問題数と、分野ごとの基準を設けるか
  • 新しいSGのサンプル問題
  • SGの重点分野に法規の2つが入るか(シラバス案と改定案が食い違っている)
  • シラバスの確定版の時期

日付や試験の内容は、IPAの発表で変わることがあります。申し込む前に、IPAと運営会社の最新の発表で確かめてください。基本情報技術者試験との違いはFEとSGの違いで比べています。新制度全体の日程は移行ガイドにまとめています。

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参考にした資料(15件)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)

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