科目A-1(共通知識)
科目A-1(共通知識)とは:PD試験(プロフェッショナルデジタルスキル試験・仮称)と支援士試験の共通範囲
PD試験の3区分と情報処理安全確保支援士試験(SC)の科目A-1は、同じ「共通知識」のシラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)から出題されます。範囲の広さ、重点のセキュリティ分野、AIの語の細かさ、未発表の点をまとめました。
結論:PD試験の3区分とSCが同じ範囲から出す、セキュリティを重点にした科目
科目A-1(共通知識)は、PD試験(プロフェッショナルデジタルスキル試験・仮称)のマネジメント・データ・AI・システムの3区分と、情報処理安全確保支援士試験(SC)が、同じ1つのシラバスから出題する知識の科目です。区分ごとの専門知識は科目A-2で問われ、科目A-1は区分をまたいだ土台の知識を扱います。
IPAは2026年9月30日に、この科目のシラバス案 Ver.0.1を新試験制度のシラバス案のページに掲載しました。PDFはsyllabus_pdsc_a-1_ver0_1.pdfで、本文は印字のページ番号で33ページあります。表紙には、公表時点の検討状況に基づくもので変更する可能性がある、と書かれています。版は「案」の Ver.0.1です。
範囲は同じでも、時間と出題数は試験によって違います。IPAの2026年3月31日の検討状況では、PD試験の各区分の科目A-1は90分・60問、SCの科目A-1は45分・30問です。出題形式はどちらも多肢選択式(四肢択一)で、全問必須解答です(検討状況のページにある「新試験制度の概要」の表、2026年10月11日確認)。SCの30問がどの分野からどう出るかは、2026年10月3日の時点で公表されていません。
科目A-1(共通知識)のシラバス案と、出題する試験
- 共通知識 29分類重点はセキュリティ同じ範囲PD 3区分の科目A-1(90分・60問)SC の科目A-1(45分・30問)
- 同じ29分類重点は開発・運用FE の科目A
- 発表済み
- 同じ範囲から出題
範囲:全区分共通の30分類のうち、マインド・スタンスを除く29分類
新しい制度では、すべての試験区分の知識の範囲を、共通の体系(7つの大分類と30の中分類)で整理しています(IPA「出題範囲等の改定案 Ver.1.0」)。科目A-1は、このうち29の中分類を範囲にします。外れているのは、ITパスポート試験だけが扱うマインド・スタンスの1分類です。
29分類のうち、シラバス案で「重点分野」とされているのはセキュリティの4分類(脅威、マネジメント、対策、実装技術・評価)です。残りの25分類は「その他の分野」として、PDFの後半(PDFの11枚目以降)に並びます。受験者から見て分かりやすいように、当サイトで6つの塊にまとめ直すと次のようになります。分類の数と塊の分け方は当サイトによるもので、用語の例はシラバス案の用語例から選びました。
| 当サイトのまとめ | 中分類の数 | 用語例にある語の例 |
|---|---|---|
| セキュリティ(重点) | 4 | ジェイルブレイク、FIDO2、3-2-1ルール、SBOM |
| 戦略・マネジメント・組織 | 8 | 両利きの経営、SLO、EVM、TOGAF |
| データとAIの利活用 | 3 | SSOT、レイクハウス、Top-p |
| デジタル技術 | 7 | ソブリンクラウド、IaC、RLHF、MCP |
| 開発・運用 | 3 | カナリアリリース、STAMP/STPA、KPT |
| 倫理と法規 | 4 | シャドーAI、ホイッスルブローイング、k-匿名化 |
各分類の冒頭の説明は「共通的知識を問う」(倫理の分類は「共通的な考え方を問う」)で結ばれ、「情報セキュリティの脅威」では、対策の検討・実施を「行う又はそれらを支援する」ための知識とされています(「情報セキュリティマネジメント」「情報セキュリティ対策」も、推進や対策の適用を「支援する」ための知識という書き方です)。ITパスポートのシラバス案の同じ分類は「基礎知識を問う」と書かれていて、求める水準の言い方が違います。範囲の重なりは「科目A-1と新ITパスポートの範囲の重なり」で詳しく比べています。
重点のセキュリティ:AIシステムへの攻撃と、その守り方に専用の項目がある
重点の4分類で目立つのは、AIに関する項目です。「情報セキュリティの脅威」には「AI システムに対する攻撃」という項目があり、プロンプトインジェクション(直接・間接)、ジェイルブレイク、敵対的サンプル、データポイズニング、モデルインバージョン攻撃が並びます(PDFの5枚目)。「セキュリティ実装技術・評価」には、AIを使ったセキュリティ技術(AI for Security)と、AIシステムを守る対策(Security for AI)が分かれて載っていて、後者の用語例には、入力されたプロンプトの検証や、RAG用のデータとデータストアへのアクセス制御があります(PDFの9枚目)。
AI以外は、認証(FIDO2、WebAuthn、IDaaS)、ランサムウェア対策(3-2-1ルール、イミュータブルバックアップ)、脆弱性の管理(SBOM、CVSS)、暗号(耐量子計算機暗号)など、実務で設計や運用の判断に使う語が中心です。
SCの受験者にとっては、科目A-1の重点と科目A-2が重なります。SCのシラバス案 Ver.0.1では、科目A-2の専門知識もこの4分類とネットワークです。PD試験でも、システム区分の科目A-2には「セキュリティ実装技術・評価」が、マネジメント区分の科目A-2には「情報セキュリティマネジメント」が入っています(各区分のシラバス案 Ver.0.2)。
その他の分野:AI技術は、生成AIの仕組みとAIエージェントまで
「その他の分野」の中では、AI技術の分類の用語例が細かく書かれています。機械学習のモデルの評価(交差検証、ROC曲線、AUC)、生成AIの仕組み(Transformer、RLHF、コンテキストウィンドウ、エンベディング)、モデルの軽量化(プルーニング、蒸留、量子化)、AIエージェントの技術(CoT、MCP、A2A、コンテキストエンジニアリング、マルチエージェント)までが並びます(PDFの26枚目)。
AIの利活用の分類には、生成AIのランダム性の制御としてTemperature・Top-p・Top-k、システムプロンプト、ローカルLLMの活用の検討があります。開発・運用の分類には、カナリアリリース、ブルーグリーンデプロイメント、AIOpsが入っています。倫理の分類には、技術者倫理の小分類があり、ITパスポートのシラバス案にはないホイッスルブローイングやインフォームドコンセントが載っています。
現行の科目A-1(2026年度の高度試験・SC)との違い
2026年度の応用情報技術者試験(AP)・高度試験・SCはCBT方式で行われ、IPAのCBTのページによると、高度試験とSCの「午前Ⅰ試験」は「科目A-1試験」に名前を変える予定とされ、2026年度の日程もこの名前で公表されています。試験時間は50分で、時間は変わらないとされています。
新しい制度の科目A-1は、名前は同じでも別の試験です。PD試験の科目A-1は90分・60問、SCは45分・30問で、範囲はこの記事のシラバス案です。
免除の扱いも分けて考える必要があります。2026年度の試験では、従来の午前Ⅰ免除が科目A-1の免除として続き、2026年度の日程のページに、科目A-1の免除を申請できる対象者が載っています。新しい制度については、PD試験に現行の高度試験と同等の免除制度を設けることが「検討」とされています。あわせて経過措置として、現行の高度試験かSCで一部科目の免除要件を満たした人に、一定期間、PD試験の各試験とSCの一部科目を免除することも「検討」とされています。どの科目が対象になるかは書かれていません(SCの科目A-2の免除制度は、新しい制度でも変更を予定していないとされています)。今のAPを受けるかPD試験を待つかは、「APを受けるかPD試験を待つか」で整理しています。
学び方の目安:PD試験とSCで1回の学習を共有できる
ここからは当サイトの見方です。科目A-1はPD試験の3区分とSCで同じシラバスなので、たとえばPD試験のシステム区分とSCの両方を考えている人は、科目A-1の学習を1回で共有できます。60問と30問で分野の配分が同じになるかは分からないので、重点のセキュリティ4分類を先に固めるのが安全です。
基本情報技術者試験(FE)のシラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)も、科目Aの範囲はマインド・スタンスを除く同じ29分類です。ただしFEの重点は開発・運用の3分類で、用語例も試験ごとに別に選ばれています。FEの教材は土台として使えますが、科目A-1の用語例にある語(特にAIとセキュリティ)は、シラバス案のPDFで個別に確かめてください。
科目A-1のサンプル問題は、2026年10月3日の時点でIPAのサンプル問題のページに掲載されていません。問題の例が公表されるまでは、用語例の語を「何を指すか」を1行で言えるかの確認表として使うのが現実的です。
まだ発表されていないこと(2026年10月3日確認)
- PD試験の60問、SCの30問の、分野ごとの出題数の配分
- 科目A-1の合格基準
- 科目A-1のサンプル問題
- PD試験の免除制度と、現行の試験からPD試験・SCへの経過措置(いずれも検討中)
- シラバスの確定版(Ver.0.1は案)
日付と範囲は、IPAの発表で変わることがあります。受験を決める前に、IPAの最新の発表で確かめてください。区分ごとの科目の構成は「区分ごとの科目の構成」に、日程は移行ガイドにまとめています。
参考にした資料(10件)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
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独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案 Ver.1.0(掲載)(確認)
- 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験におけるCBT方式での実施について(掲載)(確認)
- 令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について(掲載)(確認)
- 科目A-1試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験(確認)
- 情報処理安全確保支援士試験 シラバス(案) Ver.0.1(掲載)(確認)
- 基本情報技術者試験 シラバス(案) Ver.0.1(掲載)(確認)
- 新試験制度のサンプル問題について(掲載)(確認)