資格と仕事

未経験からIT業界へ:入口になりやすい職業と、資格の取り方・見られ方

IT業界に未経験から移りたい人向けに、厚生労働省の職業情報(job tag)で入口になりやすい職業の就業の条件と関連資格、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者の対象者像と合格率、2026年度の受験の注意を、公的な一次情報だけで整理しました。

未経験からIT業界に移るときに、資格がどう見られるかを、厚生労働省とIPAの公表資料だけで整理します。先に結論を書くと、入口になりやすい職業のどれも、入職に資格は必須ではありません。そのうえで、職業情報の「関連資格」や「有利」の記述には、ITパスポートと基本情報技術者が繰り返し出てきます。

判断の目安:資格は必須ではないが、知識の目安として名前が挙がる

  • 厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、下の4つの職業のどれにも「入職に学歴や資格は特に必要とされない」と書いています。
  • 一方で、基本情報技術者やITパスポートは、プログラマーのページで「入職時に有利」、運用管理のページで「就職に有利」、ヘルプデスクのページで「仕事に役立つ資格」と書かれています。
  • ただし運用管理のページには「中途採用では経験者が求められることが多い」ともあり、資格があれば未経験でも採用されるとは書かれていません。
  • どの試験から受けるかは、移りたい仕事が「ITを使う側」か「ITを作る側」かで決めると、IPAの対象者像と合います(当サイトの見方)。

入口になりやすい職業:就業の条件と関連資格

項目 プログラマー システムエンジニア(受託開発)
仕事の内容(要約) SEの詳細設計にもとづいてプログラムを作り、テストする 顧客のシステムの開発を受託し、要件定義から受け入れテスト・導入まで担う
就業の条件(job tagの記述の要約) 資格・専攻は問われない。基本情報技術者などがあると入職時に有利。未経験で入職した場合は、企業内で一定期間の教育を受けてから配属される 資格は特に必要とされないが、情報システムの技術・知識と、対象の業界の業務の知識が必要。IT以外の業界の経験を生かせるため、他業界からの転職者も比較的多い
関連資格(job tag) 基本情報技術者 応用情報技術者、基本情報技術者
有効求人倍率※ 0.98 2.54
賃金(年収)※ 578.5万円(平均年齢37.1歳) 578.5万円(平均年齢37.1歳)

残りの2つの職業は、次の表です(項目は上の表と同じです)。

項目 ヘルプデスク(IT) 運用・管理(IT)
仕事の内容(要約) 利用者からの問い合わせ・トラブルに電話・メール・訪問で対応する サーバーなどが止まらないよう、監視・バックアップ・障害対応をする
就業の条件(job tagの記述の要約) 資格・専攻は問われないがITの知識は必要。入職後に半年程度のOJT。役立つ資格としてITパスポートなどが挙がる 資格は特に必要とされない。基本情報・応用情報・ITパスポートがあると有利。中途採用では経験者が求められることが多い
関連資格(job tag) 基本情報技術者、ITパスポート、情報処理安全確保支援士、MOSなど 応用情報技術者、基本情報技術者、ITパスポート、ITサービスマネージャ、CCNA、ITIL、LPIC
有効求人倍率※ 1.36 2.2
賃金(年収)※ 609.8万円(平均年齢42.2歳) 609.8万円(平均年齢42.2歳)

出典: job tag「プログラマー」「システムエンジニア(受託開発)」「ヘルプデスク(IT)」「運用・管理(IT)」(2026年10月5日確認)。※有効求人倍率は令和7年度、賃金と年齢は令和7年賃金構造基本統計調査をjob tagが加工した値です。どちらも職業分類の統計で、その職業だけの値ではありません(job tagも同じ注意を書いています)。賃金が2列ずつ同じなのは、同じ統計区分を使っているためとみられます。入職したばかりの人の賃金ではありません。

IT職全体の求人の状況としては、厚生労働省の一般職業紹介状況で、「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率(常用、パートを含む、季節調整なしの実数)は2026年8月に1.33倍でした。同じ条件の全職業は1.06倍です(令和8年8月分の参考統計表6、2026年10月2日公表。新規学卒者を除く)。報道発表の本文にある全職業の1.18倍は季節調整値で、上の値とは比べられません。また、この統計は経験者の求人も含み、未経験で採用されやすいかは分かりません。

資格の取る順:使う側の基礎 → 作る側、または守る側

未経験から受ける資格の順番(例)

  1. ITパスポートIT の共通の基礎職業人として備えておくべき基礎知識。ヘルプデスク・運用管理の関連資格
  2. 次の1つ移りたい仕事に合わせて選ぶ
    • 作る側(プログラマー・SE)基本情報技術者(FE)システムを作る人材の基本
    • 守る側(利用部門のセキュリティ)情報セキュリティマネジメント(SG)部門の情報セキュリティを確保する立場
図:未経験から受ける資格の順番の例(当サイトの見方)。各試験の対象者像は下の表にある。FE と SG は、両方を受けてもよい。
試験 IPAの対象者像(…は省略) 合格率(令和7年度)
ITパスポート 職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務に対してITを活用していこうとする者 48.6%(受験者271,352人)
情報セキュリティマネジメント(SG) 情報システムの利用部門にあって、情報セキュリティリーダーとして、…情報セキュリティが確保された状況を実現し、維持・改善する者 70.0%(受験者45,924人)
基本情報技術者(FE) ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者 38.3%(受験者147,186人)

出典: IPAの試験区分のページ(ITパスポート・SG・FE)、合格率はIPAの推移表(2026年4月21日現在)。いずれも2026年10月5日確認。

2026年度に受けるときの注意:選べる試験日は12月27日まで

ITパスポート・SG・FEは、今のCBTの試験が2026年12月28日以降に休止する予定です。2026年9月28日以降の申込みで選べる受験日は、2026年12月27日までの試験開催日です。会場によっては、それより前に休止になることもあります。IPAはこの休止の理由をシステムの入れ替えとし、2027年1月以降の試験の実施は2026年秋頃に知らせるとしています(IPAの告知、2026年10月11日確認)。これとは別に、IPAは2027年度からの新しい試験制度への移行を発表しており、その開始時期と内容は試験日程と制度の変更にまとめています。12月27日までに準備が間に合うかで、今の試験を受けるか、次に受けられる時期を待つかが分かれます(当サイトの見方)。ITパスポートの具体的な決め方はITパスポートの学習計画にあります。

公的な職業訓練という入り方

ハローワークの求職者支援訓練にはIT分野のコースがあります。令和6年度のIT分野は298コース・受講者3,775人で、就職率は62.6%でした(令和6年度 求職者支援訓練実績)。コース数と受講者数は令和6年度に始まったコース、就職率は令和6年度に終わったコースの集計で、範囲が違います。この就職率は、訓練の修了3か月後に雇用保険が適用される仕事に就いた割合で、ITの職業に就いた割合ではありません。

進め方の例

  1. 上の4つの職業から、移りたい仕事を1つ選び、job tagのページで仕事の内容と「就業するには」を読む。
  2. ITを使う側の仕事(ヘルプデスク・運用管理)ならITパスポートから、作る側(プログラマー・SE)なら基本情報技術者を目標にする。
  3. 受ける時期は、今の時点で選べる最後の試験日(2026年12月27日)と新しい試験の開始時期を見て決める。
  4. 資格が仕事や公的な制度でどう扱われるかは、IT資格の仕事での評価で確かめる。

まだ分からないこと(2026年10月5日確認)

  • 未経験者の採用で、ITパスポート・基本情報技術者の合格をどの程度の企業が考慮しているかの公的な統計は見つかっていません。
  • 新しい試験制度でのITパスポート・FE・SGの試験日と受験料は、まだ発表されていません。

このページの更新履歴

  • 2026年10月5日: 公開
  • 2026年10月11日: 今のCBTの試験の休止を言い切っていた文を「休止する予定」に訂正。見出しと手順の「今の試験は12月27日まで」「最終日」を、選べる試験日の書き方に訂正

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