生成AIパスポート
生成AIパスポートの出題範囲:2027年2月試験からの新シラバスで変わった点
生成AIパスポートのシラバスは2026年10月1日に改訂され、2027年2月試験から適用されます。5つの章の中身、AIエージェントの章の新設、リスク予防とガバナンスへの拡充など、旧シラバスとの違いと、旧教材で学ぶときの注意をまとめました。
章の数は5つのまま、AIエージェントとリスク予防の比重が大きくなった
GUGAは2026年10月1日に生成AIパスポートのシラバスの改訂を公表し、2027年2月試験から適用するとしました。章の数は旧シラバスと同じ5つですが、第3章がAIエージェントだけを扱う章になり、第4章は「生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス」に名前と中身が変わりました。第5章は、プロンプトの作り方が中心だった内容から、業務の種類ごとの使い方に広がっています。
| 章 | 旧シラバス(2026年10月試験まで) | 新シラバス(2027年2月試験から) |
|---|---|---|
| 1 | AI(人工知能) | AIの基礎と歴史 |
| 2 | 生成AI(ジェネレーティブAI) | 生成AI |
| 3 | 現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向 | AIエージェント |
| 4 | 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 | 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス |
| 5 | テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 | 生成AIの実践と活用事例 |
章の名前は、GUGAのシラバスのPDFに付いている改訂内容の表によります。PDFはGUGAの試験概要ページから入手でき、各章の学習項目と詳細キーワードが載っています。以下の各章の説明は、当サイトが要約したものです。
第1章・第2章:AIの仕組みから、生成AIが文章を作る過程まで
第1章は、ルールベースと機械学習の違い、教師あり・教師なし・強化学習、ニューラルネットワークの学習の仕組み(誤差逆伝播法、過学習とその対策)、AIブームの歴史を扱います。改訂内容の表では、AIの定義や種類が中心だった旧版の構成を見直し、生成AIやAIエージェントにつながる基礎として組み直したとされています。
第2章は、Transformer以降の技術、大規模言語モデルの学習(事前学習、ファインチューニング、RLHF)、生成の過程(トークン化、次のトークンの予測、ハルシネーションが起きる理由、TemperatureやTop-pといった生成パラメータ、コンテキストウィンドウ)を扱います。主要な生成AIサービスや、画像・音楽・音声・動画の生成AIもこの章です。旧版は主要サービスの紹介の比重が大きかったので、新版では「なぜそう出力されるのか」を説明できるかが問われやすくなると当サイトはみています。
第3章:AIエージェントが独立した章になった
旧シラバスでは一部の項目だったAIエージェントが、1つの章になりました。対象は、AIエージェントの定義と自律性のレベル、RAG(検索拡張生成)、エージェントの構成(計画、ツールの利用、記憶)、MCPやAgent Skillsによる外部との連携、マルチエージェントとA2A、コーディングエージェントなどの活用事例です。
リスクの面では、権限の過剰付与やプロンプトインジェクションが挙がっています。GUGAの発表では、コンテキストエンジニアリングとプロンプトインジェクションが新しく加わった項目として示されています。旧版の教材にない語が多いので、当サイトの見方では、旧版で学んだ人が最も補う必要のある章です。
第4章:個人の使い方から、組織のルールと法制度まで
旧版の第4章は情報リテラシーとAI社会原則が中心でしたが、新版は生成AIの利用者が持つべき基本の姿勢(AIは補助者で、最終的な責任は人にある、など)から始まり、組織と社会のルールまでを扱います。
| 範囲 | 主な内容(当サイトの要約) |
|---|---|
| 代表的なリスク | ハルシネーション、情報漏えい、著作権や肖像権の侵害、差別・偏見、ディープフェイクによるなりすまし |
| シャドーAI | 会社が認めていないAIツールを従業員が使う問題と、従業員が守るべきルール |
| 出力の検証 | 用途と影響度に応じて確認の深さを変え、事実・数値・出典を確かめ、採用・修正・破棄を決める |
| 個人情報と秘密 | 個人情報保護法と生成AIへの入力の関係、要配慮個人情報、営業秘密、秘密保持契約 |
| 知的財産 | 著作権とAI生成物の類似、AI学習と著作権、AI生成物の権利の帰属 |
| 倫理とガバナンス | AI事業者ガイドライン、社内ガイドラインに入れる項目、AIツールの選定と承認の流れ |
| 法制度 | AI法、G7広島AIプロセス、AIと安全保障 |
GUGAの発表では、シャドーAIと安全保障が新しく加わった項目として示されています。入力(機密情報、個人情報)と出力(誤り)の留意点は、新ITパスポートでも問われる論点なので、「生成AIの業務利用」で試験ごとの問われ方を比べています。
第5章:プロンプトの書き方から、業務の種類ごとの使い方へ
プロンプトエンジニアリング(Zero-Shot、Few-Shot、Chain-of-Thought、役割や出力形式の指定)は残り、そのうえで業務ごとの使い方が並びます。メールや議事録などの文書作成、企画とマーケティング、画像・動画などのクリエイティブ制作、データの整形や大量の文書からの情報抽出、コーディングエージェントによる開発支援と業務の自動化、業種別の活用です。どの業務にも出力の確認や権利・機密情報への配慮が組み込まれていて、第4章の知識を第5章の場面で使う構成になっています。
旧シラバスの教材で学ぶときの注意:第3章・第4章を新しい資料で補う
GUGAの試験概要ページには、公式テキストが2種類載っています。2026年10月試験向けの版と、「2027年2,4,6,8,10月試験向け」の版です。新シラバスに対応した公式テキストは翔泳社から発行され、予約購入分は2026年11月24日から順次発送される予定です。
旧版の教材で学ぶなら、当サイトの見方では、第1章・第2章の基礎(機械学習、ディープラーニング、ハルシネーション)はそのまま役に立ちます。一方、第3章のAIエージェントと、第4章のシャドーAI、出力の検証、ガバナンス、法制度は、旧版の教材では足りない可能性が高いので、新しいシラバスの詳細キーワードと突き合わせて、知らない語を洗い出してください。
GUGAの特設ページでは、2026年8月試験の合格率を81.2%としています(2026年10月11日確認)。この回の受験者は32,877名、合格者は26,699名です(GUGAの2026年9月18日の発表、2026年10月11日確認)。2027年2月試験からは新しいシラバスで出題されるので、新しいシラバスでの合格率はまだありません(2026年10月4日確認)。最新の数字は生成AIパスポートの早見表にまとめています。
GUGAは、毎年2月を基本として、年1回以上の頻度でシラバスを改訂するとしています。2028年2月の試験で、また範囲が変わる可能性があります。受験する回のシラバスを、GUGAの試験概要ページで確かめてください。
参考にした資料
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)