情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士試験 科目Bサンプル問2(セッションフィクセーション)の解説

情報処理安全確保支援士試験の新制度(2027年度から)でIPAが公表した科目Bサンプル問2(1問3答)を、スマホで3つの設問とも解いて確かめられます。表BのsessionIDと図Aの攻撃手順から、ログイン時の遷移と修正方法を決める解き方を解説します。

情報処理安全確保支援士

科目Bサンプル問題 問2設問1

IPA 公表問題

先に設問を確認

設問1 図 3 中の表 A 中の[ a1 ]に入れる図 2 中の画面遷移の記号と,図 3 中の図 A 中の[ a2 ]に入れる表 1 中の URL の組みはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

設問と解答群へ移動

B 社は,セキュリティ診断サービスを提供している会社である。このたび,転職支援サービスを提供している M 社から,転職支援 Web サイト(以下,M サイトという)のセキュリティ診断を受注した。

M サイトを利用する求職者は,氏名,自宅住所,電話番号,勤務先などの求職者属性情報と,希望職種,希望条件などの求職情報を入力する。求人企業は,会社情報,求人情報,求人担当者の氏名,所属部署などの情報を入力する。

M サイトは,機能を追加した新しいバージョンの Web アプリケーションプログラム(以下,M サイトの Web アプリケーションプログラムを Web アプリという)の開発が完了したところであり,リリース前である。

〔セキュリティ診断の診断対象と診断方法〕

今回のセキュリティ診断の診断対象と診断方法は,図 1 のとおりである。

図 1 診断対象と診断方法 【診断対象】

  • M サイトには本番用サイトと検証用サイトがあり,診断対象は M サイトの検証用サイトとする。検証用サイトには,開発が完了した新しいバージョンの Web アプリが導入されている。なお,本番用サイトと検証用サイトは,同一の構成である。
  • 検証用サイトでは,アクセス元の IP アドレスを制限している。診断に当たり,B 社からも検証用サイトにアクセスできるように,検証用サイトの設定を変更する。
  • 検証用サイトには,テスト用疑似データが投入されている。

図 1 診断対象と診断方法 【診断方法】

  • B 社の社内にある診断用 PC からインターネットを経由して診断を行う。
  • Web アプリの脆弱性の検出を行う。
  • Web アプリの脆弱性の検出は,診断ツールと診断員の手作業で行う。
  • 診断に当たり,必要に応じて M サイトの設計書を参照する。

診断の際に参照した,M サイトの設計書中の画面遷移図を図 2 に,各画面の URL を表 1 に示す。

図 2 は画面と矢印の図です。当サイトで,画面ごとの表示内容と,矢印ごとの始点・終点・線の種類を,次の2つの表に組み直しました。原本の図は「原文を開く」の PDF 4ページにあります。

図 2 画面遷移図(抜粋)― 画面の一覧(当サイトで組み直した)
画面表示される項目とボタン
01 ログイン利用者ID,PW(入力欄)
ボタン:PW再設定,ログイン
02 求人企業トップボタン:求人情報登録,応募者確認,問合せ確認,マイページ
03 求人企業マイページボタン:PW変更
04 PW変更旧PW,新PW,新PW(確認用)(入力欄)
ボタン:変更
05 PW変更完了PWを変更しました
ボタン:OK
06 PW再設定(1)利用者ID(入力欄)
ボタン:メール送信
07 メール送信完了メールを送信しました メール中のリンクから処理を継続してください
08 PW再設定(2)新PW,新PW(確認用)(入力欄)
ボタン:PW再設定
09 PW再設定完了PWを再設定しました
ボタン:OK
図 2 画面遷移図(抜粋)― 画面遷移の一覧(当サイトで組み直した)
記号始点(ボタン)終点線
(ア)01 の[ログイン]01実線
(イ)01 の[ログイン]02実線
(ウ)01 の[PW再設定]06実線
(エ)02 の[マイページ]03実線
(オ)03 の[PW変更]04実線
(カ)04 の[変更]05破線
(キ)05 の[OK]03実線
(ク) 注 1)06 の[メール送信]07(メール(あ)を送信)破線
(ケ)08 の[PW再設定]09破線
(コ)09 の[OK]01実線

図 2 の凡例と注記

  • PW:パスワード メール:電子メール (封筒の図):メール
  • 実線の矢印:クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)対策が施されていない画面遷移
  • 破線の矢印:CSRF対策が施された画面遷移
  • 注記 1 ログインしていない状態で,02~05 の画面にアクセスした場合,エラー画面が表示される。
  • 注記 2 設問に関係しない画面,ボタン及び画面遷移は省略している。
  • 注 1) 画面遷移の際,M サイトから,登録しているメールアドレスに,PW 再設定用 URL が記載されたメール(あ)を送信する。利用者がメール(あ)に記載された PW 再設定用 URL にアクセスすると,画面 08 を表示する。
表 1 各画面の URL
画面番号URL
01,02https://test.△△△.jp/
03https://test.△△△.jp/mypage
04, 05https://test.△△△.jp/pwchange
06, 07https://test.△△△.jp/pwreset
08, 09https://test.△△△.jp/pwreset/x 注 1)

注 1) x は,PW 再設定を行う都度生成されるランダムな英数字 32 字の文字列である。

〔セキュリティ診断報告書〕

B 社は,セキュリティ診断を実施し,図 3 の診断報告書を作成した。

ここから「B 社は,M 社に診断報告書を提出し」の前までが,図 3 診断報告書(枠の中)です。

図 3 診断報告書 1 章 診断結果概要

(省略)

2 章 Web アプリケーションプログラムの診断結果 2.1 検出した脆弱性の概要

検出した脆弱性は,表 A のとおりである。

表 A 検出した Web アプリケーションプログラムの脆弱性の一覧
項番重要度脆弱性の種類検出箇所
1(省略)セッションフィクセーション画面遷移[ a1 ]
2(省略)メールヘッダーインジェクション(省略)
3(省略)HTTP ヘッダーの不備全ての画面遷移

2.2 検出した脆弱性の説明 2.2.1 セッションフィクセーション

(1) 脆弱性の内容

M サイトでは form 内の hidden フィールドである sessionID の値だけでセッション管理を実施していた。しかし,表 B のいずれの画面遷移においても,HTTP レスポンス中の sessionID の値が同一であった。

表 B セッションフィクセーション脆弱性の確認
画面遷移HTTP レスポンス中の sessionID
Web ブラウザに直接 URL を入力して,画面 01 を表示したとき<input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011">
画面遷移(ア)<input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011">
画面遷移(イ)<input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011">
画面遷移(エ)<input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011">

攻撃者が図 A の手順でこの脆弱性を悪用すると,M サイトに不正にログインすることができる。

図 A セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインする手順

  • 手順 1:求人企業への問合せ先として登録したメールアドレスを,何らかの方法で入手する。
  • 手順 2:URL“[ a2 ]”にアクセスして,sessionID を入手する。
  • 手順 3:次の二つの要素を含む HTML を作成する。
    - 手順 2 で入手した sessionID を記述したフォーム
    - 当該 HTML が Web ブラウザに読み込まれた直後に,上記のフォームを URL“[ a2 ]”に POST メソッドで送信するスクリプト
  • 手順 4:手順 3 で作成した HTML を,罠サイトに置く。
  • 手順 5:手順 4 の HTML へのリンクを含むメールを作成し,手順 1 で入手したメールアドレスに送信する。
  • 手順 6:手順 5 のメールがメール受信者に届き,罠サイトにアクセスするのを待つ。
  • 手順 7:罠サイトへのアクセスを検知後,[ b ]が完了することを期待して数分間待ち,手順 2 で入手した sessionID を指定した状態で,URL“[ a2 ]”にアクセスする。

攻撃者が,セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインに成功し,画面 02 で応募者確認ボタンをクリックして,当該企業の求人に応募した求職者の求職者属性情報と求職情報を閲覧できる。また,同じ画面 02 で問合せ確認ボタンをクリックして,当該企業に問合せを行った求職者の求職者属性情報と問合せ内容を閲覧できる。

(2) 脆弱性の修正方法

[ a1 ]の画面遷移の際に実行されるコードにおいて,[ c ]ことを推奨する。

(省略)

B 社は,M 社に診断報告書を提出し,セキュリティ診断を完了した。

設問1 図 3 中の表 A 中の[ a1 ]に入れる図 2 中の画面遷移の記号と,図 3 中の図 A 中の[ a2 ]に入れる表 1 中の URL の組みはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群
答えと選択肢ごとの根拠を見る

正解:ウ(a1 (イ)/a2 https://test.△△△.jp/) IPA 公表の解答例による

  • ア × 誤り ログインボタンを押した遷移なら,どれでもセッションIDを更新する場所になると考えた

    a1 (ア)/a2 https://test.△△△.jp/

    a2は正しいが,a1が誤り。(ア)は01の[ログイン]から01に戻る遷移で,ログインした状態の画面02に進んでいない。セッションIDを取り替えるべきなのは,未ログインからログイン済みに状態が変わる遷移((イ))。

  • イ × 誤り ログインボタンを押した遷移なら,どれでもセッションIDを更新する場所になると考えた

    a1 (ア)/a2 https://test.△△△.jp/mypage

    a1・a2とも誤り。(ア)は01に戻る遷移で,ログインの成功ではない。また,mypage(画面03)は注記1によりログインしていないとエラー画面になるので,手順2で攻撃者がsessionIDを入手する先にはならない。

  • ウ ○ 正しい

    a1 (イ)/a2 https://test.△△△.jp/

    ログインに成功して01から02に進む遷移が(イ)。表Bのとおり,この遷移の前後でsessionIDが同じなので,攻撃者が先に渡したsessionIDが,そのままログイン済みのセッションになる。a2は,ログインしていなくてもsessionIDを受け取れる画面01のURLで,表1では01と02が同じ https://test.△△△.jp/。手順 7で同じURLにアクセスすれば,ログイン済みの画面02が表示されると考えられる(当サイトの読み)。

  • エ × 誤り 不正ログインの後に見る画面のURLを,sessionIDを入手するURLと取り違えた

    a1 (イ)/a2 https://test.△△△.jp/mypage

    a1は正しいが,a2が誤り。手順2は,攻撃者が自分でアクセスしてsessionIDを入手する手順。ログインしていない攻撃者がmypageにアクセスすると,注記1によりエラー画面になる。sessionIDを受け取れるのは,ログイン前に表示できる画面01のURL。

  • オ × 誤り ログインの後で重要な画面に移るときに,セッションIDを更新すればよいと考えた

    a1 (エ)/a2 https://test.△△△.jp/

    a2は正しいが,a1が誤り。(エ)は02から03に進む遷移で,このときはすでにログイン済み。攻撃者は,ログインの直後(画面02)で応募者確認と問合せ確認から個人情報を閲覧できるので,(エ)でIDを取り替えても被害は防げない。

  • カ × 誤り ログインの後で重要な画面に移るときに,セッションIDを更新すればよいと考えた

    a1 (エ)/a2 https://test.△△△.jp/mypage

    a1・a2とも誤り。(エ)はログイン済みの状態での遷移なので,ここでIDを取り替えても,ログインの時点で攻撃者のsessionIDが有効になっている。mypageは未ログインではエラー画面になるので,攻撃者がsessionIDを入手する先にならない。

出典:情報処理安全確保支援士試験 科目B サンプル問題 問2独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(掲載)原文を開く(確認)空欄の枠を[ ]で示しました。図1・図3の枠の中の文は,見出しと箇条書きで示しました。図2(画面遷移図)は,当サイトで「画面の一覧」と「画面遷移の一覧」の2つの表に組み直しました(矢印の始点のボタン,終点の画面,実線か破線かを読み取って記入。表の見出しは当サイトによる)。表1の注の記号を「注 1)」と文字で示しました。読み仮名(ぜい,わな)は省きました。図3は,原本ではp5の枠(表題「診断報告書」)とp6の枠(表題「図3診断報告書(続き)」)の2つに分かれていますが,ここでは1つにまとめ,図番号と表題を見出しに入れました。問題文・表・注記・設問・解答群の文言は原文のままです。

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科目Bサンプル問題 問2設問2

IPA 公表問題

問2 の本文は,このページの設問1 の問題カードにあります。図 A の手順7 を再掲します。

手順 7:罠サイトへのアクセスを検知後,[ b ]が完了することを期待して数分間待ち,手順 2 で入手した sessionID を指定した状態で,URL“[ a2 ]”にアクセスする。

設問2 次の動作のうち,図 A 中の[ b ]に入れるものはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群
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正解:ア(メール受信者による M サイトへのログイン) IPA 公表の解答例による

  • ア ○ 正しい

    罠サイトのHTMLは,攻撃者のsessionIDを入れたフォームをMサイトにPOSTし,メール受信者のブラウザにそのsessionIDを使わせる(画面01にそのsessionIDが入ると考えられる。当サイトの読み)。メール受信者がそのままログインすると,遷移(イ)でsessionIDが変わらないので,攻撃者の知っているsessionIDがログイン済みのセッションになる。攻撃者は,このログインの完了を待ってから同じsessionIDでアクセスする。

  • イ × 誤り 不正ログインには,パスワードを書き換えさせる必要があると考えた

    セッションフィクセーションは,パスワードを知らなくても,被害者が正規にログインしたセッションを横取りする攻撃。パスワードの再設定は不要で,再設定を終えても画面09から01に戻るだけでログインした状態にはならない。また,パスワードの再設定には,登録したメールアドレスに届くメール(あ)のURLが必要になる。

  • ウ × 誤り 罠サイトで入力させた情報を使って不正ログインすると考えた(フィッシングとの混同)

    罠サイトに置くのは,フォームを自動で送信するHTMLだけで,ログイン画面ではない。罠サイトにログインしてもMサイトのセッションには何も起きない。攻撃者が待っているのは,攻撃者のsessionIDを持たされた状態でのMサイトへのログイン。

出典:情報処理安全確保支援士試験 科目B サンプル問題 問2独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(掲載)原文を開く(確認)問2の本文(図1~図3,表1)は,このページの設問1の問題カードに載せています。ここには,設問2が参照する図Aの手順7だけを再掲しました。空欄の枠を[ ]で示しました。設問・解答群の文言は原文のままです。

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科目Bサンプル問題 問2設問3

IPA 公表問題

問2 の本文は,このページの設問1 の問題カードにあります。図 3 の「(2) 脆弱性の修正方法」を再掲します。

[ a1 ]の画面遷移の際に実行されるコードにおいて,[ c ]ことを推奨する。

設問3 次の修正方法のうち,図 3 中の[ c ]に入れるものはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群
答えと選択肢ごとの根拠を見る

正解:キ(使用した sessionID を無効化して,新しい sessionID を発行する) IPA 公表の解答例による

  • ア × 誤り セッション管理の対策を,Cookieの属性で一律に考えた

    MサイトはsessionIDをCookieではなくformのhiddenフィールドで受け渡している。HttpOnly属性は,スクリプトからCookieを読ませない設定で,攻撃者が自分で入手したsessionIDを被害者に使わせる攻撃は防げない。

  • イ × 誤り セッション管理の対策を,Cookieの属性で一律に考えた

    Secure属性は,HTTPSのときだけCookieを送らせる設定で,盗聴への対策。MサイトはCookieを使っていないうえ,攻撃者はsessionIDを盗聴ではなく自分のアクセスで正規に入手している。

  • ウ × 誤り 罠サイトからのPOSTが絡むので,CSRFの対策で防げると考えた

    SameSite属性は,ほかのサイトからのリクエストにCookieを付けさせない設定。MサイトはsessionIDをフォームの値で受け取るので,罠サイトのフォームが送るsessionIDはCookieの属性では止まらない。ログインの前後で同じIDを使い続けるという原因も残る。

  • エ × 誤り 受け渡しの方法を変えれば固定化を防げると考えた

    渡し方を変えても,ログインの前後でsessionIDが同じという原因は残る。GETパラメータはURLに載るので,履歴やRefererから漏れやすく,攻撃者がIDを仕込むのもかえって簡単になる。

  • オ × 誤り 受け渡しの方法を変えれば固定化を防げると考えた

    エと同じく,URLにsessionIDを載せると,リンクを踏ませるだけでIDを固定できてしまう。セッションフィクセーションを起こしやすくする方向の変更で,対策にならない。

  • カ × 誤り sessionIDを秘匿すれば固定化を防げると考えた

    攻撃者は,自分で入手したsessionIDを被害者に使わせている。被害者の側でIDを暗号化して保存しても,ログインの後も同じIDが有効なら,攻撃者はそのIDでアクセスできる。

  • キ ○ 正しい

    ログインに成功する遷移(a1の(イ))で,それまでのsessionIDを無効にして新しいIDを発行すれば,攻撃者が事前に入手したIDはログイン済みのセッションにならない。手順7で攻撃者が古いIDでアクセスしても,ログインしていない状態として扱われる。

出典:情報処理安全確保支援士試験 科目B サンプル問題 問2独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(掲載)原文を開く(確認)問2の本文(図1~図3,表1)は,このページの設問1の問題カードに載せています。ここには,設問3が参照する図3の「(2) 脆弱性の修正方法」の1文だけを再掲しました。空欄の枠を[ ]で示しました。設問・解答群の文言は原文のままです。

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解説

答えは設問1ウ、設問2ア、設問3キ

正解は、設問1がウ(a1は(イ),a2は https://test.△△△.jp/)、設問2 がア(メール受信者によるMサイトへのログイン)、設問3がキ(使用したsessionIDを無効化して,新しいsessionIDを発行する)です。IPAは出題趣旨で、この問題を、個人情報を取り扱うWebサイトに対するセキュリティ診断を題材に、検出された脆弱性の内容を理解する能力と、修正方法を立案する能力を問うものとしています。

この問2は、新制度で加わる「1問3答」の形です。3つの設問はすべて必須解答で、本文を共有しています。このページでは、問題カードを3枚並べました。1枚目に本文と設問1、2枚目と3枚目に設問2・設問3を載せています。

決め手は表Bの1行:ログインの前後でsessionIDが変わらない

本文の診断報告書によると、MサイトはformのhiddenフィールドのsessionIDだけでセッションを管理しています。表Bを見ると、画面01を直接開いたときから、(ア)・(イ)・(エ)のどの遷移の後でも、sessionIDは同じ「764b2ac2-…」です。

ここで大事なのは、(イ)が「01の[ログイン]から02に進む遷移」、つまりログインに成功する遷移だという点です。ログインの前に発行されたsessionIDが、ログインの後もそのまま使われ続けています。前もって攻撃者がその値を知っていれば、被害者がログインした瞬間に、攻撃者の手元のsessionIDもログイン済みになります。これがセッションフィクセーション(セッション固定化攻撃)です。

設問1:a1はログインに成功する遷移、a2は誰でも開けるログイン画面

a1は、表Aの「検出箇所」で、修正方法の文にも「a1 の画面遷移の際に実行されるコードにおいて」と出てきます。権限が変わる遷移は、図2の中では未ログインからログイン済みに変わる(イ)だけです。

候補 遷移 a1に入らない理由
(ア) 01の[ログイン]→ 01 01に戻っており、ログイン済みの画面に進んでいない
(イ) 01の[ログイン]→ 02 (正解)ここでIDを取り替えれば攻撃が成立しない
(エ) 02の[マイページ]→ 03 すでにログイン済み。画面02で個人情報を見られた後では遅い

a2は、図Aの手順2・3・7の3か所に入る同じURLです。手順2では、攻撃者が自分でアクセスしてsessionIDを手に入れます。図2の注記1により、ログインしていないと02~05はエラー画面になるので、攻撃者が開けるのは画面01です。表1では01と02が同じ https://test.△△△.jp/ なので、手順7で攻撃者が同じURLに、ログイン済みになったsessionIDでアクセスすると、画面02が表示されると読めます(当サイトの読み)。本文の「画面 02 で応募者確認ボタンをクリックして」という被害の説明とも合います。

設問2:攻撃者が待っているのは、被害者の正規のログイン

図Aの流れを、被害者の側から追うと次のとおりです。原本は被害者の側の画面を説明していないので、1〜2の画面の動きは当サイトの読みです。

  1. メールのリンクから罠サイトを開くと、罠サイトのHTMLが、攻撃者のsessionIDを入れたフォームをMサイトの https://test.△△△.jp/ に自動でPOSTする。
  2. 被害者の画面にMサイトの画面01が表示される。hiddenフィールドには攻撃者のsessionIDが入っている。
  3. 被害者が自分の利用者IDとパスワードでログインする(遷移(イ))。sessionIDはそのまま。
  4. 攻撃者が同じsessionIDでアクセスすると、ログイン済みとして扱われる。

攻撃者が「数分間待」つのは、3のログインが終わるのを待つためで、答えはアです。イのパスワードの再設定は、画面09から01に戻るだけでログインした状態にならず、攻撃にも必要ありません。ウの罠サイトへのログインは、フィッシングと取り違えた選択肢です。この攻撃では、罠サイトに入力させるものは何もありません。

図2の凡例で、(イ)を含む実線の遷移にはCSRF対策が施されていないとされています。罠サイトからのPOSTがそのまま受け付けられるという前提は、この凡例からの当サイトの読みです。

設問3:IDの渡し方ではなく、IDを取り替える

原因は「ログインの前後で同じsessionIDを使い続けること」なので、対策はログインの遷移で古いIDを無効にし、新しいIDを発行すること(キ)です。攻撃者が事前に手に入れたIDは、ログインの後には使えなくなります。

選択肢 対策にならない理由
ア・イ・ウ(Cookieの属性) MサイトはsessionIDをCookieではなくhiddenフィールドで渡している。属性を付けても、ログインの前後で同じIDという原因は残る
エ・オ(GET・URLパラメータ) URLにIDが載るので、リンクを踏ませるだけで固定できてしまい、かえって危ない
カ(暗号化してローカルストレージ) 攻撃者が自分で入手したIDを被害者に使わせる攻撃なので、被害者の側で隠しても防げない

ア〜ウは、Cookieでセッションを管理するサイトの定番の対策として覚えていると選びたくなります。本文の「form 内の hidden フィールドである sessionID の値だけでセッション管理を実施していた」の1文を読んでいれば、3つまとめて外せます。

時間をかけないコツ:表B → 図2 → 図Aの順に読む

3問で15分ほどが目安です(当サイトの推測)。本文は図が3つあり長めですが、読む順番を決めると迷いません。

  1. 表Aの脆弱性の種類「セッションフィクセーション」と、表BのsessionIDが全て同じことを確かめる。原因はこれで決まる。
  2. 図2の(ア)・(イ)・(エ)の始点と終点を見て、ログインに成功する遷移(イ)を選ぶ。設問3の答え(IDの取り替え)も、ここで決まる。
  3. 図Aの手順2と注記1から、a2をログイン画面のURLに決める。手順7の空欄bは、手順の流れから被害者のログインになる。

実務の目で見ると:診断報告書では「どの遷移で直すか」まで書く

脆弱性診断の報告書で、セッションフィクセーションを「全ての画面遷移」と書くと、開発側はどこに手を入れるべきかが分かりません。この問題の報告書は、検出箇所を(イ)の1つの遷移に絞り、そこで実行されるコードの修正を勧めています。認証の成否でsessionIDを取り替える処理は、フレームワークの設定1つで有効にできることも多く、指摘の場所が具体的なほど、リリース前の修正が間に合いやすくなります。

シラバス案(Ver.0.1)の科目Bの項目「2-6. セキュリティテスト」は、実装したセキュリティ機能のテストと、ソフトウェア及びシステムのテストについて指導・助言を行い、支援することを挙げています。技能の例には、手動テストとツールによる自動テストを組み合わせてテストを計画する能力と、テストで検出したエラーを識別し、修正、解消する能力が含まれます。この問題の診断も、リリース前の検証用サイトを対象に、診断ツールと診断員の手作業で行っています。「2-5. セキュアプログラミング」は、ソフトウェアの実装をセキュアプログラミングの原則と実践規範に照らしてレビューする能力を挙げています。出題趣旨の「脆弱性の内容を理解する能力」は設問1・2で問われ、前者に対応します。「脆弱性の修正方法を立案する能力」は設問3で問われ、後者に対応します。

次に読む

参考にした資料

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)