共通論点
アジャイルな進め方は試験ごとにどう問われるか(新ITパスポートとPD試験)
失敗を許容して小さく試す「反復的なアプローチ」と、スクラムの役割分担が、新しいITパスポート試験とPD試験(仮称)システム区分のサンプル問題でどう問われているかを比べます。行動を選ぶ問題から、体制を設計する問題までの違いをまとめました。
結論:ITパスポートは「自分がどう動くか」、PD試験は「チームをどう組むか」
アジャイルな進め方は、新ITパスポートでは個人の行動として、PD試験(仮称)システム区分ではチームの体制として問われています。
| サンプル問題 | 問われていること |
|---|---|
| 新ITパスポート 問1 | 「失敗も成果」という方針のもとで、不安を抱えたメンバーがどう動くか |
| PD試験 システム 科目B問6 | スクラムマスターの役割と、経験を共有するためのペアプログラミングの組み方 |
ITパスポート:方針に沿って、自分から小さく試す
ITパスポートのサンプル問1は、DX推進チームの方針が「失敗してもその都度軌道修正し,学びを得ることも成果である」とされている場面で、失敗が不安で動けないメンバーの対応を選ぶ問題でした。正解は「失敗が許容される範囲の小さなサイクルで改善を行い,フィードバックを得て反復的に進めていく」です。
誤答は、ほかの人の提案を聞くだけ、失敗しない方法の指導を待つ、案をリーダーに出してもらう、のどれかで、どれも自分では動かない選択肢でした。シラバス案(Ver.0.1)のマインド・スタンスの項目は、「反復的なアプローチ」の行動例として、失敗を許容できる範囲の小さいサイクルで行い、顧客・ユーザーのフィードバックを得て反復的に改善していることを挙げています。
同じ中分類には、もう1つの小分類として「アジャイルなふるまい」があり、用語例にアジャイルマインド、仮説検証、スプリント(期間のサイクル)、ふりかえり、KPT、アジャイルソフトウェア開発宣言などが並んでいます。ITパスポートでは、これらの用語の意味と、それに沿った行動を選べるかが問われます。
PD試験:役割と、経験の伝え方を設計する
PD試験(仮称)システム区分のサンプル問6は、スクラムで開発するチームの体制を題材にしています。空欄aはスクラムマスターの役割で、メンバー全員が「自律的」に協働できるように支援する、が正解です。空欄bはペアプログラミングの組み方で、アジャイル開発の経験がないメンバーと経験のあるメンバーを組み、ドライバーとナビゲーターを交代で担う、が正解でした。
ここで問われているのは、ITパスポートのように「自分がどう動くか」ではなく、「経験が伝わるように、誰と誰をどう組ませるか」です。表に書かれたメンバーの経験を読み、目的(アジャイル開発の経験者を育成する)に合う組み方を選ぶ必要があります。役割を固定する選択肢は、一方向の指導になりやすく、本文の「経験と知識を共有することができた」に合いません(当サイトの解説)。
共通する考え方:小さく回して、学びを共有する
2つの問題は、見る範囲は違っても、同じ考え方に立っています。
- ITパスポートの問1は、失敗を許容できる小さなサイクルで試し、フィードバックから学ぶこと。
- PD試験の問6は、役割を交代しながら作業し、経験と知識をチームの中で共有すること。
どちらも、最初から正しいやり方を決めて指示を待つのではなく、試して学んだことを次に生かす、というアジャイルの考え方です。ITパスポートで「反復的なアプローチ」や「ふりかえり」の意味を押さえておくと、PD試験のような体制の問題でも、どの選択肢が学びを止めてしまうかを見分けやすくなります。
学ぶ順番:用語と行動 → 役割 → 体制の設計
学ぶ順番
ITパスポートの段階では、スプリント、ふりかえり、KPT、アジャイルソフトウェア開発宣言などの用語と、「小さく試してフィードバックで直す」行動を結び付けて覚えます。PD試験を受けるなら、そのうえでスクラムの役割(プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者)と、ペアプログラミングのような経験の共有の仕組みを、事例の表から読み取る練習をします。
参考にした資料
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)