共通論点
メタデータは試験ごとにどう問われるか(新ITパスポートとデータマネジメント試験)
メタデータ(データについてのデータ)が、新しいITパスポート試験とデータマネジメント試験(仮称)のサンプル問題でどう問われているかを比べます。定義を答える問題から、整備の進め方を選ぶ問題まで、試験ごとの深さの違いと解き方をまとめました。
結論:ITパスポートは「何がメタデータか」、DMは「どう整備し、どう使うか」
メタデータは「データについてのデータ」で、データの値そのものではなく、そのデータが何を意味し、どう作られ、どう使えるかを説明する情報です。IPAが公表したサンプル問題では、同じメタデータが、試験によって違う深さで問われています。
| サンプル問題 | 問われていること |
|---|---|
| 新ITパスポート 問3 | 顧客データについての4つの情報のうち、どれがメタデータか(定義) |
| DM科目A問3 | ビジネスメタデータの整備が進まないとき、どう解決するか(進め方) |
| DM科目B問1 | データカタログの意味欄を、誰が更新するか(責任) |
ITパスポートで「メタデータとは何か」を押さえ、DMではそれを前提に「整備の進め方」と「誰の責任か」を判断する、という段差になっています。シラバス案(Ver.0.1)でも、ITパスポートのデータマネジメント分野はメタデータ管理を用語として挙げるだけですが、DMの科目Aは、メタデータの3分類、データカタログ、データリネージ、メタデータ管理のプロセスまで項目に並べています。
ITパスポート:値か、値の説明かを見分ける
ITパスポートのサンプル問3は、顧客データに関する4つの選択肢から、メタデータを1つ選ぶ問題です。選択肢は、氏名と住所の値、取引金額の合計、顧客番号の採番の規則や粒度の説明、前月末時点の顧客数で、正解は採番の規則や粒度の説明です。
見分ける手がかりは「その情報があれば、データを正しく読めるようになるか」です。合計や件数は、元のデータから作った新しいデータで、データの読み方は教えてくれません。採番の規則や粒度(1件が会社単位か部門単位か)は、顧客番号の読み方そのものです。
ITパスポートの水準では、項目名、型、意味、作成日時、利用ルールなどがメタデータの例、具体的な値、合計、件数が誤答の例、と覚えておけば足ります。
DM科目A:誰が書き、どの範囲でそろえるか
DMの科目Aサンプル問3は、メタデータを、ビジネス及び業務に関するもの(データの意味、利用ルール)、ITに関するもの(テーブル名、型・桁)、システム運用に関するもの(作成日時、容量)の3つに分けたうえで、ビジネスメタデータの整備が課題になりやすい、という前提を置いています。
正解は、事業部門が参画して組織全体の用語集(ビジネスグロッサリー)を整え、メタデータと併せて継続的に管理する方法です。当サイトの見方では、ITや運用のメタデータはシステムから集めやすい一方で、データの意味は業務を知る人にしか書けず、部門ごとに言葉の使い方も違うからです。誤答は、業務とデータの関係の説明をメタデータに書かない、一度整備したら事業部門では更新しない、部門ごとに個別にツールを入れる、のどれかでした。
ITパスポートとの違いは、定義を知っていることが前提になり、「メタデータを整える組織の動き方」が問われる点です。
DM科目B:カタログの中身の責任は、データの持ち主にある
DMの科目Bサンプル問1では、データカタログに登録された意味欄(商談確度の「S:受注目前、A:提案中」)と、実際のデータ(“C”や“引合中”)が食い違っていました。問題の空欄dは、意味欄を正しい状態に更新するのは誰か、です。
会社のルールでは、データカタログシステムの稼働維持はデータ基盤チーム、各データの意味の記述の登録・更新はデータオーナーが行う、と分けられていました。正解はデータオーナー(営業部)です。メタデータの「入れ物」を運用する部門と、「中身」に責任を持つ部門は違う、という点が問われています。
この考え方は、科目A問3の「事業部門が書く」と同じ方向を向いています。メタデータの中身は、データを生み出している業務の側が持つ、というのが、2つの問題に共通する答えの軸です。
学ぶ順番:定義 → 3分類 → 整備の体制
学ぶ順番
ITパスポートからDMへ進む人は、次の順に押さえると、同じ知識を2回学び直さずに済みます。
- ITパスポートの範囲で、メタデータは値の説明であり、合計や件数は含まないことを押さえる。
- DMの科目Aの範囲で、ビジネス・IT(テクニカル)・システム運用(オペレーショナル)の3分類と、整備が難しいのはビジネスメタデータであることを押さえる。
- DMの科目A・Bの範囲で、中身は事業部門やデータオーナーが書いて更新し、組織全体の用語集でそろえること、カタログシステムの稼働維持はデータ基盤チームなどの基盤側であることを押さえる。
DMのシラバス案は、メタデータの登録と最新情報への更新、利害関係者の役割・責任範囲も項目に挙げています。サンプル問題は2問ですが、本番でも「誰が更新するか」を問う形は出やすいと当サイトでは見ています。
参考にした資料
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)