情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士試験(SC)の新シラバス案 Ver.0.1:今の試験との違い

IPAは2026年8月31日、2027年度夏頃から秋頃に始まる予定の新しい情報処理安全確保支援士試験のシラバス案 Ver.0.1を掲載しました。科目Bのマネジメント分野の組み直し、科目A-2の分類の変更、増えた用語を今のシラバスと比べました。

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新しい情報処理安全確保支援士試験(以下SC)は、科目A-1・科目A-2・科目Bの3科目という形は今と同じですが、科目Bが「4問から2問を選んで記述式で答える150分」から「12問を120分で解く」形に変わる予定です。シラバス案で中身が大きく動いたのも科目Bで、マネジメントの大項目の小項目が7個から11個に増え、セキュリティ運用状況の点検が新しく入りました。科目A-2は分類の体系が変わりますが、IPAは範囲そのものは変わらないとしています。この記事は、IPAが2026年8月31日に掲載したシラバス案 Ver.0.1と、今のシラバス Ver.2.1・追補版(科目A-2)Ver.4.0・試験要綱 Ver.5.6を、当サイトが読み比べた結果です(2026年10月3日確認)。

版と出典:シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載)

今のSC 新しいSC
科目B(技能) シラバス Ver.2.1(2023年12月25日掲載) シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載)
科目A-2(専門知識) 追補版(科目A-2)Ver.4.0(2023年12月25日掲載) 同上(1冊にまとまった)
科目A-1 高度試験と共通の問題 共通知識のシラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)
掲載ページ 試験要綱・シラバスについて 新試験制度のシラバス案について

PDFは、今の版がsyllabus_sc_ver2_1.pdfとsyllabus_sc_am2_tsuiho4_0.pdf、案がsyllabus_sc_ver0_1.pdfです。今は科目Bと科目A-2で2冊に分かれていますが、案は前半に科目A-2の知識、後半に科目Bの技能を置いた1冊です。表紙には、公表時点の検討状況に基づく内容で、変更の可能性があると書かれています。この記事の対照も Ver.0.1時点のものです。

試験の形:科目Bは記述式2問の150分から、12問の120分へ

項目 今のSC(試験要綱 Ver.5.6) 新しいSC(IPAの検討状況・科目Bサンプル)
開始 実施中(2026年度はCBT) 2027年度夏頃から秋頃の予定
科目A-1 50分、30問 45分、30問
科目A-2 40分、25問 35分、25問
科目B 150分、記述式。4問から2問を選んで解答 120分、12問。1問1答が8問、1問3答が4問の予定
科目A-2の免除制度 あり 新しい制度でも変更を予定していない
実施方式 CBT 全区分をCBTで行う予定
合格率 22.3%(令和7年度秋期。受験者18,816人、合格者4,199人) 未発表(2026年10月3日確認)

科目Bの出題構成は、IPAの科目Bのサンプル問題の冒頭に「予定」として書かれているものです。サンプルの2問は、どの設問も解答群から選ぶ形で、字数を決めて書かせる設問はありませんでした(当サイトの確認)。ただし、IPAによるとサンプル問題は出題分野と形式のイメージを共有するためのもので、実際の試験と同じ作成・チェックの過程は経ていません。12問を120分でどう配分するかはSC科目Bのサンプル問題のページに、ほかの試験区分との科目の比べ方は区分ごとの科目の構成にまとめています。

今のSCの合格率は、IPA「令和7年度秋期情報処理技術者試験(応用情報技術者試験、高度試験)及び情報処理安全確保支援士試験の合格発表について」(公開2025年12月25日、2026年10月3日確認)の値で、2025年10月12日に紙の試験で実施した回のものです。新しいSCは科目Bの形が変わるので、この値を新しいSCの難しさの目安にはできません。最新の数字はSCの早見表にまとめています。

科目B:マネジメントの小項目が7から11に増えた

科目Bの大項目は今も案も4つで、情報セキュリティマネジメント、情報システムのライフサイクルでのセキュリティ確保、セキュリティ対策の適用、インシデント管理の順に並びます。小項目の数は、今の Ver.2.1が7・8・11・4の計30、案が11・8・8・4の計31です。IPAが見直しのポイントに挙げた「マネジメント分野の強化」は、この大項目1の増え方に表れています。

増えた4つのうち3つは、今は大項目3(対策の適用)にある人的管理、サプライチェーン、コンプライアンス管理が大項目1に移ったものです。残りの1つが新しい小項目1-5で、情報資産管理やシステムの利用状況の点検、ISMSの運用と適合性の確認、内部監査と経営層への報告までを扱います。今のSCでは、運用状況を点検して是正につなげる仕事が独立した項目になっていませんでした。

ほかに、当サイトが読み取った中身の変化を、案の番号の順に並べます。

案の番号 今の Ver.2.1の番号 変わったところ(当サイトの要約)
1-4 1-4 クラウドサービスやAIを安全に導入・利用するための指針・規程づくりへの助言が加わった
1-5 なし 新設。運用状況の点検とISMSの運用・適合性の確認
1-7 3-11 大項目1へ移動。AI関連の法令・ガイドラインを守るための助言が加わった
1-9 1-5 監査の支援に、DXを進めるためのデジタルガバナンスの体制づくりへの助言が加わった
1-10 1-6 脅威インテリジェンスと脆弱性収集ツールを使った情報収集が、概要と技能の例に入った(脅威インテリジェンスは今の知識の列にもある)
2-2 2-2 調達する製品・サービスにIoTとクラウドサービスが明記され、制度・ガイドラインを踏まえた選定が加わった
3-3 3-3 バックアップの項目が「データ保護」になり、情報の削除、データマスキング、データ漏えい防止が加わった
3-5 3-5 クラウド環境のセキュリティ管理と、設定不備や過剰な権限の継続的な検出が加わった
4-1 4-1 インシデント「管理」体制が「対応」体制になり、サイバーレジリエンスと復旧訓練の計画・評価が加わった

書き方も変わりました。今の Ver.2.1は小項目ごとに「要求される知識」と「要求される技能」の2列がありますが、案には知識の列がなく、知識は前半の科目A-2の用語例にまとめられています。技能の例の文は、多くの小項目で今の版とほぼ同じです。

科目A-2:分類の数は7から10へ、扱う分野はほぼ同じ

今の科目A-2(追補版 Ver.4.0)は7つの中分類から出ます。重点分野はセキュリティとネットワークで、どちらも技術レベル4です。データベース、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術、サービスマネジメント、システム監査の5つは技術レベル3で、追補版はAPと同等の幅と深さとしています。

案は、全試験区分に共通する30の中分類のうち10を使います。「専門知識」がセキュリティの4分類(脅威、マネジメント、対策、実装技術・評価)とネットワークの5つ、「その他の知識」がサービスマネジメント、ガバナンス・監査、データベース、システムライフサイクルプロセス、開発・運用の方法論の5つです。各分類の説明の結びは、専門知識が「専門的な知識を問う」、その他が「応用的な知識を問う」で、今の技術レベル4と3の分け方に近いと当サイトはみています。今のセキュリティ1つが4つに分かれたのが数の増えた理由で、扱う分野の顔ぶれは今とほとんど変わりません。IPAの検討状況のページも、SCの科目Aの体系の変更は表記の変更などで、問う知識・技能の範囲そのものは変わらないと注記しています。

用語例で増えたもの:AIシステムの守り方、ゼロトラストの実装、脆弱性の優先順位付け

当サイトが、今の Ver.2.1・追補版 Ver.4.0と案 Ver.0.1のテキストを語で検索して比べました。案にあって今の2冊に見つからなかった語のうち、学習の量に効きそうなものを挙げます。

分野(当サイトの整理) 案で目立つ語 案のPDFのページ
AIシステムへの攻撃 ジェイルブレイク、システムプロンプトの窃取 3
AIシステムを守る対策 エージェントの権限分離、プロンプト分離 11
認証 フィッシング耐性のある認証、パスキー 8
ゼロトラストの実装 ZTNA、マイクロセグメンテーション 9
ソフトウェアサプライチェーン 依存関係混同、タイポスクワッティング、SLSA 3、12
脆弱性の優先順位付け EPSS、SSVC 12
暗号の移行 ML-KEM、暗号アジリティ 10
国の体制と制度 国家サイバー統括室(NCO)、SCS評価制度、JC-STAR、ISO/IEC 42001 4、5、12

ページはPDFに印刷されたページ番号です。今の追補版 Ver.4.0も、AIを悪用した攻撃、プロンプトインジェクション、データポイズニング、ディープフェイク、AIを使ったセキュリティ技術とAIそのものを守る技術、ゼロトラストアーキテクチャ、イミュータブルバックアップ、SBOM、KEV、耐量子計算機暗号、FIDO2、多要素認証疲労攻撃をすでに載せています。案で変わったのは、AIのシステムを守る対策が独立した項目になり、システムプロンプトから機密情報を切り離す、外部から参照するデータを検証する、RAG用のデータストアへのアクセスを制御する、といった具体的な対策まで書かれたことです。逆に、今の Ver.2.1の知識の列にあるNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)、CPSF、J-CSIP、J-CRATの語は、案と共通知識のシラバス案のどちらにも見当たりませんでした。

科目A-1:PD試験と共通の「共通知識」から出る

今の科目A-1は、試験要綱 Ver.5.6で高度試験と共通の問題とされています。新しいSCの科目A-1は、PD試験(プロフェッショナルデジタルスキル試験・仮称)の3区分と同じ「共通知識」のシラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日掲載)から出題され、SCのシラバス案の冒頭にも、科目A-1の用語例は共通知識のシラバス案で示すと書かれています。範囲と重点(セキュリティの4分類)は「科目A-1(共通知識)とは」で説明しています。SCの30問がどの分野からどう出るかは未発表です。

今の教材で学ぶときに補うところ(当サイトの見方)

科目A-2は、範囲そのものは変わらないというIPAの説明どおり、今の教材で大部分を学べるとみています。補うのは、上の表の語と、今の版では用語1つ(AIそのものを守るセキュリティ技術)だったAIのシステムを守る対策の中身です。案のPDFの3〜5・8〜12ページを開き、知らない語に印を付けるのが早道です。

科目Bは、記述式の答案を書く練習より、本文と図表から根拠の箇所を探して解答群を絞る練習に比重を移す必要があると考えます。大項目の並びと業務の場面は今と同じなので、今の午後(科目B)の過去問題は、場面と論点の題材として引き続き使えます。選んで答える形は、サンプル問題の問2(セッション固定化)で試せます。マネジメントの比重が増えるので、規程、ISMSの運用・点検、委託先管理、コンプライアンスの論点は、技術の論点と同じ重さで準備しておくのが安全です。

今のSCを受けるなら:2026年度は前期・後期の2回

IPAによると、今の試験制度は2026年度の試験の実施をもって終了する予定です。2026年度のSCはCBTで行われ、前期は申込受付が2026年10月6日から10月24日まで、科目A-1・科目A-2が10月17日から10月27日、科目Bが11月11日から11月23日です。後期は申込受付が2027年1月27日から2月27日まで、科目A-1・科目A-2が2月20日から3月2日、科目Bが3月16日から3月28日です。今のSCの試験時間・出題形式・出題数は、CBTになっても変わらないとされています。

出典:IPA「令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について」(最終更新2026年9月17日)、IPA「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験におけるCBT方式での実施について」(最終更新2026年7月6日)。いずれも2026年10月3日確認。合格発表の時期と、ほかの試験の日程は移行ガイドの2026年度の日程にまとめています。

まだ分からないこと

次の項目は、IPAが未発表(2026年10月3日確認)です。新しいSCの具体的な開始日、科目Bの配点と合格基準、科目A-1の30問の分野ごとの配分、受験手数料、シラバスの確定版の時期です。今のSCの一部の科目を免除する経過措置は「検討」とされていて、対象の科目は書かれていません。科目A-1・科目A-2のサンプル問題は、IPAのサンプル問題のページ(最終更新2026年8月31日)に掲載がありません。

新制度全体の日程と、ほかの試験の公表状況は移行ガイドにまとめています。

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今の SC(2026年度の CBT)を受ける人向けの教科書です(2026年10月4日確認)。新しいシラバス案(Ver.0.1)には対応していません。

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