データマネジメント試験
データマネジメント試験(仮称)の出題範囲:シラバス案 Ver.0.1で科目A・科目Bに何が問われるか
IPAが2026年8月31日に掲載したデータマネジメント試験(仮称)のシラバス案 Ver.0.1を読み、科目Aの8つの中分類と科目Bの4つの大項目で何が問われるかを整理しました。サンプル問題がまだ触れていない範囲も示します。
結論:科目Aはデータマネジメントの知識、科目Bは「ルールに沿って扱い、気づいたら伝える」技能
データマネジメント試験(仮称)の出題範囲は、IPAが2026年8月31日に掲載したシラバス案 Ver.0.1に書かれています。当サイトが数えると、科目A(知識)は8つの中分類と21の小分類、科目B(技能)は4つの大項目と16の小項目です。シラバス案で科目Aの重点分野とされているのは、データマネジメント、データ分析・データ利活用、AI利活用の3つの中分類です。
問われる立場は、データのルールを決める側ではありません。シラバス案は、DMOやデータオーナーが決めたルールに沿ってデータを扱い、問題に気づいたらデータ主管組織などに報告・相談する実務担当者を想定して書かれています。IPAのサンプル問題5問は、科目Aが中分類8(データマネジメント)、科目Bが大項目1(データの適切な取扱い)に当たり、それ以外の範囲にはまだサンプルがありません(当サイトの対応づけ)。
版と出典:シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載)
この記事は、次の資料を2026年10月3日にIPAのサイトから取得して読んだ結果です。
| 資料 | 掲載・公表 | この記事での使い方 |
|---|---|---|
| シラバス(案)Ver.0.1 | 2026年8月31日 | 科目A・科目Bの範囲 |
| 見直しの検討状況 | 2026年3月31日(最終更新2026年4月28日) | 試験時間、出題数、開始時期 |
| 出題範囲等の改定案 Ver.1.0 | 2026年3月31日 | 試験の対象者像(スキルの発揮場面) |
| サンプル問題 | 2026年6月22日 | 範囲のうち、サンプルが当たる部分 |
シラバス案のPDFは、印刷されたページ番号で17ページです。科目Aの知識が3〜8ページ、科目Bの技能が9〜17ページにあります。表紙には、公表時点の検討状況に基づく内容で、変更する可能性があると書かれています。この記事の数や区分も、Ver.0.1の時点のものです。
試験の形:科目A 48問・科目B 12問を、合わせて120分で解く
IPAの見直しの検討状況によると、科目Aと科目Bは合わせて120分で、出題数は科目Aが48問、科目Bが12問です。開始は2027年度夏頃から秋頃、CBT方式で実施する予定とされています。重点分野とその他の分野にそれぞれ何問を割り振るかは、シラバス案にも検討状況のページにも書かれていません(2026年10月3日確認)。
時間の配分の考え方はサンプル問題の一覧に、学習の順番はDM試験の学習計画に書きました。この記事は範囲の中身に絞ります。
科目A:重点分野3つ、その他の分野5つ、合わせて21の小分類
シラバス案は、全試験区分に共通する30の中分類のうち、DMに関係する8つを使っています。下の表は、当サイトが中分類ごとに小分類の数を数え、中身を短くまとめたものです。
| 中分類 | シラバス案の区分 | 小分類の数 | 中身(当サイトの要約) | サンプル問題 |
|---|---|---|---|---|
| 8データマネジメント | 重点分野 | 5 | 目的と機能、ライフサイクル、ガバナンスの体制、品質、メタデータ | 科目A問1〜3 |
| 9データ分析・データ利活用 | 重点分野 | 3 | データ基盤、データの種類・加工・統計・可視化、業務分析 | なし |
| 10 AI利活用 | 重点分野 | 4 | 国の原則とガイドライン、識別AI・生成AI・AIエージェントの使いどころ | なし |
| 17データベース | その他の分野 | 2 | データアーキテクチャ、データモデルの読み方 | なし |
| 24情報セキュリティマネジメント | その他の分野 | 3 | 機密性などの考え方、アクセス権の管理、情報資産の分類とリスク評価 | なし |
| 27情報倫理・AI倫理 | その他の分野 | 2 | データのねつ造・改ざん、AIの出力の誤り | なし |
| 28ビジネス関連法規 | その他の分野 | 1 | 知的財産権 | なし |
| 29プライバシー関連法規 | その他の分野 | 1 | 個人情報保護法 | なし |
サンプル問題の列は、当サイトがサンプル問題の解説ページで付けた対応です。
中分類8データマネジメント:用語例が最も細かい
21の小分類のうち5つがこの中分類に集まり、用語例も8つの中分類で最も多く並びます。ガバナンスの体制ではCDO、DMO、データオーナー、データスチュワードなどの役割に加え、組織の形(中央集権型、分散型、連邦型)まで挙がっています。品質では正確性・完全性・一貫性などの品質特性とデータクレンジング、メタデータではビジネス・テクニカル・オペレーショナルの3分類、データカタログ、データリネージが用語例です。
サンプルの科目A 3問は、すべてこの中分類から出ていました。問われ方の違いは、メタデータとデータガバナンスとデータ品質の記事で、新ITパスポートと比べています。
中分類9データ分析・データ利活用:統計と業務分析の手法まで入る
データレイク、DWH、ETLといったデータ基盤の語のほか、標準偏差、回帰分析、仮説検定、選択バイアスや交絡バイアスなどの統計の語、パレート図や線形計画法などの業務分析の手法が並んでいます。シラバス案の説明では、データサイエンティストなどからの要請や分析結果を正しく理解し、実務の側から連携するための知識とされています。分析を自分で設計する力より、受け取った結果を読み違えない力を問う書き方です(当サイトの読み方)。計算問題がどの程度出るかは、サンプルに計算問題がないため分かりません。
中分類10 AI利活用:AIエージェントへの人間の関与まで
識別AI(教師あり学習による予測など)と生成AI(RAG、プロンプトエンジニアリングなど)の使いどころに加えて、AIエージェントの小分類があり、自律性と人間の関与(最終承認、例外処理)、ガードレール、ハーネスエンジニアリングの語が挙がっています。国の原則としては、人間中心のAI社会原則とAI事業者ガイドラインです。AIの出力を人が確かめる場面の問われ方は、AIの結果の確かめ方で試験ごとに比べています。
その他の分野:データベースも法規も「使う側」の知識に絞られている
その他の分野の5つの中分類は、どれも小分類が1〜3個です。データベースは、データの管理主体者が作ったデータモデル(概念データモデル、論理データモデル)の意図をつかむための知識とされ、E-R図やUMLが用語例にあります。情報セキュリティマネジメントは、規程に沿ってデータを扱うことと、情報漏えいが起きたときの報告・初動対応のための知識です。
倫理と法規では、AIの出力に含まれる誤った情報や偏った情報、ハルシネーション、出典元のデータを確かめる必要性(中分類27)、営業秘密と限定提供データ(中分類28)、匿名加工情報、オプトアウト、GDPR(中分類29)が用語例に入っています。AIの誤りの扱いはハルシネーションの記事にまとめました。
問われる立場:ルールを決める側ではなく、ルールに沿って扱い、伝える側
IPAの出題範囲等の改定案 Ver.1.0は、この試験のスキルの発揮場面を、データマネジメントの管理主体者と協働するビジネスパーソンとしています。シラバス案の書き方も同じ方向です。中分類8の説明は、DMOやデータオーナーが策定した運用ルールに従い、現場で正確に情報を連携するための知識を問う、としています。
科目Bの技能の例は、すべて「〜するスキル」の形で書かれています。当サイトが数えると、「把握・説明する」が15回、「協力を得ながら」が7回出てきます。「協力を得ながら」は、AIを使った分析結果の確かめ方(2-3)と、PoCを扱う大項目4に集まっていて、PoCも1人で進めるのではなく、データ主管組織などと進める前提で書かれています。科目Bの選択肢を絞るときは、自分の判断でルールやデータを書き換える対応より、決まった責任者に報告・相談する対応のほうが、シラバス案の書き方に合います(当サイトの見方)。
科目B:4つの大項目と16の小項目
科目Bの範囲は、4つの大項目と、その下の16の小項目です。小項目ごとに、概要と技能の例が書かれています。下の表は、当サイトが中身を短くまとめたものです。大項目の名前はシラバス案 Ver.0.1の表記を短くしたものです。
| 大項目 | 小項目の数 | 中身(当サイトの要約) | サンプル問題 |
|---|---|---|---|
| 1データの適切な取扱い | 6 | データの定義とコード体系の確認、データ間の対応と整合、利用条件と権限、品質とメタデータの確認と報告、AIへ入力するデータの留意点、文書や画像などの非構造化データの扱い | 科目B問1・問2 |
| 2データ活用による意思決定、検証と改善 | 5 | 仮説とデータの選定、基本的な分析、分析結果の解釈とAIの分析結果の確認、取組の結果の検証、記録と教訓の共有 | なし |
| 3データ活用の組織文化の醸成 | 2 | データ活用の意義の説明と事例の共有、部門をまたいだ対話と協力 | なし |
| 4データ活用の向上 | 3 | 新しい技術の動向の把握、PoCの企画と実施、結果の共有と提案 | なし |
大項目1:サンプルのない「非構造化データ」の小項目がある
大項目1の6つの小項目のうち、サンプルの2問が当たるのは、データの定義(1-1)、データ間の整合(1-2)、品質とメタデータ(1-4)です(当サイトの対応づけ)。残る3つのうち、非構造化データの扱い(1-6)は、文章ファイル、画像、動画などを、組織の決めた保管場所・命名ルール・タグの付け方に従って管理する技能です。技能の例には、タグの例として業務名・顧客名・年月・用途が、課題の例として「検索しづらい」「重複保存しやすい」などが挙がっています。共有フォルダーのファイルの置き方や版の管理を題材にした事例が出うる範囲だと、当サイトはみています。
大項目2〜4:分析・定着・PoCの場面は、出題の形がまだ分からない
大項目2は、仮説を立ててデータを選び、集計・比較などの基本的な分析をし、結果を意思決定に使い、取組の結果を目標値と比べて検証するまでの流れです。最後の小項目(2-5)は、使ったデータ、分析条件、得られた示唆を記録し、次の活用に教訓として伝える技能です。大項目3は、データ活用の意義を上長や他部門に説明し、部門をまたいだデータ共有の取組に参加する技能、大項目4は、新しい技術の事例を集め、PoCを企画・実施し、結果を上長への判断材料にまとめる技能です。
この3つの大項目にはIPAのサンプル問題がなく、どのような事例と設問になるかは分かりません。練習のしかたはDM試験の学習計画で、業務の集計やレポートを使う例を挙げています。
サンプル問題が当たる範囲は、まだ一部
当サイトの対応づけでは、サンプル5問が当たるのは、科目Aでは中分類8の小分類5つのうち4つ(目的と考え方、ガバナンス、品質、メタデータ)、科目Bでは大項目1の小項目6つのうち3つです。科目Aの重点分野のうち中分類9・10、その他の分野の5つ、科目Bの大項目2〜4には、サンプルが1問もありません。
IPAは、サンプル問題を新しい出題分野と出題形式のイメージを共有するためのもので、実際の試験と同様の問題作成やチェックのプロセスを経たものではないとしています。サンプルの範囲だけを学んで準備が済むわけではない、というのが当サイトの見方です。サンプル5問はサンプル問題の一覧から1問ずつ解けます。
まだ分からないこと:試験日、受験料、問題数の配分など
次の項目は、IPAが未発表です(2026年10月3日確認)。試験日、申込方法、受験料、合格基準、重点分野とその他の分野の問題数の配分、シラバスの確定版の時期です。新設の試験でまだ1回も実施されていないため、合格率も出ていません。最新の状況はDM試験の早見表にまとめています。
ほかの試験区分の科目A・科目Bの範囲との比べ方は、区分ごとの科目の構成にまとめています。
参考にした資料(7件)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)
残りの4件を開く
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)