PD試験 システム

PD試験(仮称)システム区分 サンプル問1(ダッシュボードの要件定義)の解説

プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称)の科目Bサンプル問1を、スマホで解いて確かめられます。本文から「誰が・誰ごとに」確認しているかを拾い出し、下線①に当たる情報を絞り込む手順と、選択肢ごとの根拠を解説します。

PD試験 システム

科目Bサンプル問題 問1

IPA 公表問題

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設問 本文中の下線①だけを全て挙げた組合せを,解答群の中から選べ。

設問と解答群へ移動

A 社は不動産会社である。業務で利用している不動産売買仲介システム(以下,現行システムという)の老朽化に伴い,新システムを構築することにした。

〔A 社の不動産売買仲介業務の概要〕

A 社は,不動産売買仲介業務として,不動産物件(以下,物件という)の調査及び評価,並びに売却希望の顧客(以下,売主という)と購入希望の顧客(以下,買主という)の仲介及び売買契約のサポートをしている。売却と購入の申込みは,電話又は自社サイトで受け付けており,専任の営業担当者が顧客と電話又は電子メール(以下,メールという)で連絡を取り合う。売主は,物件の売買を仲介するように A 社に依頼(以下,媒介依頼という)し,媒介契約を締結する。この媒介契約によって,A 社は売主に代わって買主を探し,売買を成立させるための活動を行う。

〔現在の業務とシステムの概要〕

A 社は,現行システムを利用し,売主と買主の顧客情報,媒介契約情報,物件情報及び折衝履歴情報を管理している。営業担当者は,電話又はメールでやり取りした内容を折衝履歴情報として登録し,過去のやり取りを確認できるようにしている。現在の主な業務とシステムの概要は,次のとおりである。

  1. (1) 媒介依頼
    売主から媒介依頼を受けると,カスタマーセンターの担当者が氏名,住所,電話番号,メールアドレス,勤務先などの顧客情報を登録する。また,物件の所在地,マンション又は一戸建てなどの物件の種類,売却理由などを媒介依頼の情報として登録する。
    A 社では,物件の所在地によって営業担当者が決まっており,新規に媒介依頼があった場合,マネージャが適切な営業担当者を割り当てる。また,マネージャは,営業担当者ごとの媒介契約数と自部門全体の媒介契約数の推移を日々確認し,実績を把握している。営業担当者は,売主に電話又はメールで連絡を取り,詳細な情報を確認して現行システムに登録する。
    営業担当者は,まず物件の詳細情報,売却希望価格,売却スケジュール,媒介契約の種類などを確認する。次に,物件の現地調査を行う。その後,査定を実施して査定結果を現行システムに登録する。
  2. (2) 媒介契約
    営業担当者は,現行システムに必要事項を登録し,媒介契約書を作成して売主と媒介契約を締結する。現行システムでは,媒介契約の状況を物件ステータスとして管理しており,状況に応じて営業担当者が物件ステータスの値を変更している。営業担当者は,各物件の物件ステータスの値から成約率を計算し,日々確認している。成約率は,一定期間内に担当した媒介契約がどれだけ売買契約の締結に至ったかを示す。マネージャは,営業担当者ごとに各物件の物件ステータスの値の推移を日々確認し,必要に応じて営業担当者に指示を出している。営業担当者は,必要な情報を現行システムに登録し,営業活動報告書として売主へ定期的に報告する。
  3. (3) 購入依頼
    買主から物件の購入依頼を受けると,カスタマーセンターの担当者が氏名,住所,電話番号,メールアドレス,勤務先などの顧客情報を登録する。また,物件の希望地域,物件の種類,購入検討理由などを購入依頼の情報として登録する。
    マネージャは,購入依頼の情報を日々確認し,適切な営業担当者を割り当てる。営業担当者は,買主に電話又はメールで連絡を取り,詳細な希望条件を確認して現行システムに登録する。その後,希望条件に基づいて適した物件を検索し,提案する。
  4. (4) 購入申込
    買主が購入を決定した場合,営業担当者は売主と調整し,購入申込みの準備を進める。購入申込書を作成し,買主に確認と署名を依頼する。購入申込書を受領後,現行システムに申込内容を登録する。その後,売買契約の締結に向けて売主と買主を仲介し,契約日,価格などの条件を調整する。マネージャは,営業担当者からの報告を踏まえて条件の妥当性を確認する。
  5. (5) 売買契約,仲介手数料
    (省略)
  6. (6) 社内データ管理
    マネージャは,自社 Web サイトや電話での物件に関する問合せ件数,他社からの紹介件数,自社 Web サイトのアクセス件数などのデータを日々確認し,必要に応じて営業担当者に指示を出している。

〔新システムへの追加機能〕

新システムでは,データの可視化を目的として,営業担当者とマネージャが最新のデータを確認できるように,ダッシュボード機能を導入する。営業担当者には,営業活動の活動量を把握するための折衝履歴件数,媒介契約数及び成約率を確認できるようにし,マネージャには〔①現在の業務で確認している営業担当者ごとの情報〕を確認できるようにする。

設問 本文中の下線①だけを全て挙げた組合せを,解答群の中から選べ。

  • (一) 媒介契約数
  • (二) 自部門全体の媒介契約数の推移
  • (三) 成約率
  • (四) 各物件の物件ステータスの値の推移
  • (五) 購入依頼の情報
  • (六) 売買契約の条件
  • (七) 物件に関する問合せ件数
  • (八) 他社からの紹介件数
  • (九) 自社 Web サイトのアクセス件数
解答群
答えと選択肢ごとの根拠を見る

正解:エ((一),(四)) IPA 公表の解答例による

  • ア × 誤り 「自部門全体」と「営業担当者ごと」の混同

    (一)は正しいが,(二)は「自部門全体の媒介契約数の推移」で,営業担当者ごとの情報ではない。本文の(1)でも,マネージャが確認しているのは「営業担当者ごとの媒介契約数」と「自部門全体の媒介契約数の推移」の2つで,書き分けられている。また(四)が抜けている。

  • イ × 誤り 成約率を確認しているのはマネージャだと考えた

    成約率は,本文の(2)で「営業担当者は,各物件の物件ステータスの値から成約率を計算し,日々確認している」とあり,現在確認しているのは営業担当者自身。マネージャが営業担当者ごとに確認しているのは(四)の物件ステータスの値の推移で,それが抜けている。

  • ウ × 誤り 成約率を確認しているのはマネージャだと考えた

    (一)と(四)は正しいが,(三)の成約率が余分。成約率を計算して日々確認しているのは営業担当者で,マネージャではない。成約率が物件ステータスから計算されるので混ぜたくなるが,下線①は「現在の業務で確認している営業担当者ごとの情報」で,マネージャが現在確認している情報に限られる。

  • エ ○ 正しい

    本文で,マネージャが営業担当者ごとに日々確認している情報は2つだけ。(1)の「営業担当者ごとの媒介契約数」((一))と,(2)の「営業担当者ごとに各物件の物件ステータスの値の推移」((四))。どちらも「営業担当者ごと」と明記されている。

  • オ × 誤り 成約率を確認しているのはマネージャだと考えた

    (四)は正しいが,(三)の成約率は営業担当者が確認している情報。また,(1)でマネージャが確認している「営業担当者ごとの媒介契約数」((一))が抜けている。

  • カ × 誤り マネージャが見ている情報なら全部当てはまると考えた

    (五)の購入依頼の情報は,マネージャが日々確認しているが,営業担当者を割り当てる前の依頼ごとの情報で,営業担当者ごとの情報ではない。(六)の売買契約の条件は,マネージャが報告を踏まえて妥当性を確認するもので,営業担当者ごとの実績として日々追う情報ではない。

  • キ × 誤り マネージャが見ている情報なら全部当てはまると考えた

    どれもマネージャが確認している情報だが,「営業担当者ごと」の条件を満たさない。(七)〜(九)は(6)の社内データ管理で,会社全体の件数。正解の(一)・(四)が1つも入っていない。

  • ク × 誤り マネージャが見ている情報なら全部当てはまると考えた

    購入依頼の情報((五))は営業担当者を割り当てる前の情報,(七)〜(九)は会社全体の件数で,どれも営業担当者ごとの情報ではない。

  • ケ × 誤り マネージャが見ている情報なら全部当てはまると考えた

    売買契約の条件((六))は取引ごとの確認事項,(七)〜(九)は会社全体の件数で,どれも営業担当者ごとの情報ではない。

  • コ × 誤り 「データを日々確認」という言葉だけで選んだ

    (6)の社内データ管理にも「日々確認」とあるが,対象は自社Webサイトや電話での問合せ件数などの会社全体のデータ。営業担当者ごとの情報ではない。

出典:プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称) 科目B サンプル問題 問1独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(掲載)原文を開く(確認)下線①の箇所を〔 〕で囲んで示しました。問題文・設問・解答群の文言は原文のままです。

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解説

この問題で問われていること:業務の記述から機能要件を決める

IPAは出題趣旨で、この問題を、業務とシステムの概要と業務ニーズを踏まえて「ダッシュボード機能にかかる機能要件を適切に定義する能力」を評価するものとしています。

形式は「本文中の下線①に当たるものを、9つの候補から過不足なく選ぶ」問題です。計算も専門知識も要りません。必要なのは、本文の主語と集計の単位を正確に読み分けることだけです。そのぶん、読み飛ばしたときの失点がそのまま出ます。

解き方:「誰が」「誰ごとに」の2つの条件で絞る

下線①は「現在の業務で確認している営業担当者ごとの情報」で、条件が2つ含まれています。1つは確認している人で、下線①の直前に「マネージャには」とあるので、マネージャです。もう1つは集計の単位で、「営業担当者ごとの」情報に限られます。

候補の(一)〜(九)を一つずつ考えるより、先に本文から「マネージャが確認していること」を全部書き出し、次に「営業担当者ごと」で絞るほうが、漏れも重複も起きません。

手順1:マネージャが主語の文を全部拾う

本文の(1)〜(6)のうち、マネージャが何かを確認している箇所は次のとおりです。

本文の箇所 マネージャが確認していること 営業担当者ごと?
(1)媒介依頼 営業担当者ごとの媒介契約数 ○
(1)媒介依頼 自部門全体の媒介契約数の推移 ×(部門全体)
(2)媒介契約 営業担当者ごとに、各物件の物件ステータスの値の推移 ○
(3)購入依頼 購入依頼の情報(担当者を割り当てるため) ×(割当て前)
(4)購入申込 報告を踏まえた条件の妥当性 ×(取引ごと)
(6)社内データ管理 問合せ件数、紹介件数、アクセス件数 ×(会社全体)

手順2:「営業担当者ごと」が付いているものだけを残す

○が付くのは2つだけです。(一)媒介契約数と、(四)各物件の物件ステータスの値の推移で、答えはエに決まります。

候補の文言は本文を短くしたもので、「営業担当者ごとの」という修飾が削られています。そのため、候補だけを読むと(二)や(五)も当てはまりそうに見えます。本文に戻って、修飾語まで確かめるのがこの問題の要点です。

間違えやすいところ:成約率は誰が見ているか

一番のひっかけは(三)の成約率です。成約率は物件ステータスから計算されるので、(四)と一緒に選びたくなります(ウ・オ・イ)。

しかし本文の(2)には、「営業担当者は,各物件の物件ステータスの値から成約率を計算し,日々確認している」とあります。現在、成約率を確認しているのは営業担当者自身です。さらに〔新システムへの追加機能〕でも、成約率は営業担当者のダッシュボードに載せる項目として挙げられています。

つまり本文は、営業担当者が見る情報(折衝履歴件数・媒介契約数・成約率)と、マネージャが見る情報(下線①)を、はっきり書き分けています。媒介契約数だけは両方に出てきますが、マネージャが見ているのは「営業担当者ごとの」媒介契約数です。

時間をかけないコツ:「マネージャ」の語から探す

解く時間の目安は5分ほどです(当サイトの推測)。本文は長いですが、拾うのは「マネージャ」が主語の文だけなので、最初に「マネージャ」の語を探して印を付けると、読む量を半分以下にできます。

逆に、候補を一つずつ本文で探していくと、9回本文を往復することになり、時間を取られます。サンプル問題の6問にも、このように本文を読む順番を決めてから読むと速くなる問題がいくつかあります。

要件定義の目で読み直す:要件の文言は業務の記述で決まる

この問題は、要件定義でよくある「現状の業務で見ている情報を、新システムでも見られるようにする」という要件の書き方を題材にしています。

  • 下線①のように要件を「現在の業務で確認している〜」と書くと、何が対象かは現状の業務の記述で決まります。現状の記述があいまいだと、要件もあいまいになります。この問題で答えが一つに決まるのは、本文が主語と集計の単位を書き分けているからです。
  • 「営業担当者ごと」と「部門全体」、日々確認するのか、必要なときだけ見るのかといった粒度の違いは、ダッシュボードでは画面の構成や集計処理の違いになります。要件の段階で区別しておかないと、後工程で手戻りになります。

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参考にした資料

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)