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ITパスポート 令和7年度公開問題:AI・データ活用の7問
令和7年度のITパスポート公開問題から、AIのデータの取扱い、ハルシネーション、生成AI、基盤モデル、ライフログ、データの尺度、官民データの7問を解けます。用語が出たときに、問題文のどこで答えを絞るかと、誤答の型をまとめました。
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令和7年度 公開問題 問8(AIのデータの取扱い)
IPA 公表問題
AI の機械学習で利用するデータの取扱いに関する記述のうち,バイアスの低減やデータの品質を確保するために考えられる対策として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 学習の目的に適したデータであることを確認する。
- b データの入手元・作成来歴を確認する。
- c データへのアノテーションの付与は学習目的に合わせて実施する。
- d 人間の目でも同定が困難と考えられる画像認識用のデータは除外する。
答えと選択肢ごとの根拠を見る
正解:イ(a, b, c, d) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り cとdは対策ではないと考えた
aとbは適切。ただしラベルを学習の目的に合わせること(c)と,人でも判別できないデータを外すこと(d)も,偏りや品質のばらつきを減らす対策なので,aとbだけでは足りない。
イ ○ 正しい
目的に合うデータか確かめる(a),どこから来てどう作られたかを確かめる(b),付けるラベルを学習の目的に合わせる(c),人でも判別できず品質を保証しにくいデータは外す(d)。どれもデータの偏りや品質のばらつきを減らす対策なので,全てが適切。
ウ × 誤り 入手元の確認とアノテーションの扱いは,品質と関係ないと考えた
来歴の確認(b)で偏りや不適切な入手を防げ,ラベル付けを目的に合わせる(c)ことでデータの質がそろう。どちらも対策なので,aとdだけでは足りない。
エ × 誤り 学習の目的に適したデータかどうかの確認は,品質と関係ないと考えた
そもそも目的に合わないデータで学習すると,偏った結果になりやすい。aも対策なので,これを除いた組合せは全てを挙げたことにならない。
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令和7年度 公開問題 問10(生成AIの用語)
IPA 公表問題
生成AI において,もっともらしいが事実とは異なる内容が出力されることを表す用語として,最も適切なものはどれか。
答えと選択肢ごとの根拠を見る
正解:エ(ハルシネーション) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 事実と異なる内容が出てくる現象は,何でもエコーチェンバーだと考えた
同じ意見の人ばかりが集まり,似た情報だけが行き交って意見が強まる現象。AIの出力の誤りを指す言葉ではない。
イ × 誤り AIの話題に出る言葉なら,出力の誤りも指すと考えた
AIが人間の知能を超える転換点のこと。出力が事実と違うことを表す言葉ではない。
ウ × 誤り 事実と違う出力は,偽の画像や動画を作ることだと考えた
AIを使って本物そっくりの偽の画像・音声・動画を作る技術や,その成果物のこと。AIが意図せずもっともらしい誤りを答える現象とは別。
エ ○ 正しい
ハルシネーションは「幻覚」の意味で,生成AIがもっともらしい文章で,事実と異なる内容を出力すること。出力をそのまま信じず,事実を確かめる必要がある理由の一つ。
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令和7年度 公開問題 問28(生成AI)
IPA 公表問題
生成AIに関する記述として,最も適切なものはどれか。
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正解:エ(自然言語で指示された内容に従って,事前に学習したデータを基に,新しいコンテンツを生成する。) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 生成AIは,学習しなくても新しいものを作れると考えた
生成AIは,大量のデータで事前に学習したモデルを使って,文章や画像を作る。学習をしないモデルは,新しいコンテンツを作れない。
イ × 誤り 予測して値を出力するAIも,生成AIだと考えた
過去のデータから将来の値を予測するのは,需要予測などに使う予測用のAIの説明。新しいコンテンツを作るものではない。
ウ × 誤り 自動で動くものは,全て生成AIだと考えた
あらかじめ作ったシナリオどおりに動いて業務を自動化するのは,RPAの説明。
エ ○ 正しい
生成AIは,人が普通の言葉で出した指示(プロンプト)に応じて,事前に学習したデータを基に,文章や画像などの新しいコンテンツを作る。
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令和7年度 公開問題 問80(生成AI技術)
IPA 公表問題
AI において,広範囲かつ大量のデータで訓練されたものであり,ファインチューニングなどによって文章生成 AI のような様々な用途に適応できる特徴をもつものを何というか。
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正解:ウ(基盤モデル) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 学習データに関わる言葉なら,訓練されたAIを指すと考えた
学習データに,正解などの情報(ラベル)を付ける作業のこと。訓練されたAIそのものではない。
イ × 誤り 専門知識を使うAIは,大量データで訓練されたAIだと考えた
専門家の知識をルールとして登録し,推論で答えを出すシステム。大量のデータで訓練し,様々な用途に適応させるものとは仕組みが違う。
ウ ○ 正しい
基盤モデルは,広範囲で大量のデータを使って訓練した,汎用的なモデル。ファインチューニングなどで調整すると,文章生成など様々な用途に使える。
エ × 誤り 畳み込みニューラルネットワークは代表的なAIの技術だから,大量のデータで訓練された汎用のAIのことだと考えた
画像認識によく使われるニューラルネットワークの構造の名前。様々な用途に適応できるAIという位置づけを表す言葉ではない。
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令和7年度 公開問題 問32(ライフログ)
IPA 公表問題
公共交通機関での移動履歴,Web サイトでの商品検索履歴,SNS やブログで発信したデータなど,個人の活動を記録する技術,又は記録そのものを表す用語として,最も適切なものはどれか。
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正解:ウ(ライフログ) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 活動を表す言葉だから,活動の記録のことだと考えた
アクティビティは,もともと「活動」「作業」という意味の言葉。個人の活動を記録する技術や,その記録を指す言葉ではない。
イ × 誤り 履歴が残るものは,トランザクションだと考えた
トランザクションは,データベースで,まとまった一つの処理として扱う更新の単位のこと。個人の活動の記録を指す言葉ではない。
ウ ○ 正しい
ライフログは,移動や買い物,発信など,人の生活や活動をデータとして記録したもの,またはその技術。
エ × 誤り 記録を残すという意味から,記録の技術のことだと考えた
レコードキーピングは,文書や帳簿などの記録を管理して保管すること。個人の日々の活動を記録する技術を指す言葉ではない。
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令和7年度 公開問題 問63(データの尺度)
IPA 公表問題
データの尺度を名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度の四つに分類したとき,間隔尺度に該当するものはどれか。
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正解:ウ(時刻) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 数字や順番で表すものは,全て間隔尺度だと考えた
学年は,順番(上下)には意味があるが,1年と2年の差と3年と4年の差が同じ大きさだとは言えない。順序尺度。
イ × 誤り 血液型のような区分も数で表せるので,間隔尺度になると考えた
血液型はA,B,O,ABという区分けだけで,大小も差も意味をもたない。名義尺度。
ウ ○ 正しい
時刻は,9時と10時の差と,14時と15時の差が同じ1時間で,差に意味がある。一方で0時は「時間がない」ことではなく,倍の関係(20時は10時の2倍)も意味をもたない。差には意味があり比には意味がない,というのが間隔尺度。
エ × 誤り 時間を表すものは,時刻と同じ間隔尺度だと考えた
睡眠時間は0が「なし」を表し,差にも比(6時間は3時間の2倍)にも意味がある。比例尺度。
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令和7年度 公開問題 問3(官民データ活用推進基本法)
IPA 公表問題
政府は,官民データ活用推進基本法に定められた“官民データ活用推進基本計画”を策定し,官民データの公開や活用の促進に取り組んでいる。次の組織体のうち,官民データを所有しているものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 県庁
- b 大学
- c 電力事業者
- d 独立行政法人
答えと選択肢ごとの根拠を見る
正解:イ(a, b, c, d) IPA 公表の解答例による
ア × 誤り 独立行政法人は官民データの所有者に入らないと考えた
独立行政法人も,官民データを所有する主体に入る。dを落としているので不十分。
イ ○ 正しい
官民データは,国や地方公共団体,独立行政法人,民間の事業者などが,業務の中で管理・利用・提供している電磁的記録(データ)のこと。県庁,大学,電力事業者,独立行政法人は,どれも当てはまる。
ウ × 誤り 官民データの「民」は,個人のことだと考えて,電力事業者のような民間企業は入らないと考えた
官民データには民間の事業者が持つデータも入る。電力事業者(c)が抜けている。
エ × 誤り 大学は教育機関なので,官民データの所有者ではないと考えた
大学も,業務で作ったデータを保有している。bを外す理由はない。
解説
この7問で問われること
AI・データの問題は専門用語を知っていれば短時間で解ける問題と、組合せの選択肢を丁寧に消す問題が混ざります。この7問のうち、問10、問80、問32は問題文が用語の説明になっている問題です。問28は選択肢の説明文のどれが生成AIかを選ぶ問題、問8は記述を一つずつ判定する問題、問63は分類の問題、問3は組織体の例を全て挙げる問題です。
問8(AIのデータの取扱い):記述を一つずつ判定する
答えはイ(a, b, c, d)です。a〜dの4つの記述から、バイアスの低減やデータの品質の確保に適したものを全て挙げる問題です。選択肢はaとb、aとbとcとd、aとd、bとcとdの4通りです。
決め手は4つの記述を一つずつ判定することです。目的に合ったデータか確かめる(a)、入手元と来歴を確かめる(b)、ラベル付けを学習の目的に合わせる(c)、人でも判別できないデータを外す(d)のどれも、データの偏りや品質のばらつきを減らす手立てです。そこでa, b, c, dが正解になります。
誤答はどれも記述を1〜2個落としたものです。「aとbだけが対策らしい」「cとdは別の話だろう」と、見慣れない記述を切り捨てると外します。組合せの問題ではまず記述ごとに適切かどうかを決めてから、選択肢と照らします。
問10(ハルシネーション):「事実と異なる内容」を出す現象を指す言葉
答えはエ(ハルシネーション)です。問題文は生成AIが「もっともらしいが事実とは異なる内容」を出力することを表す用語を聞いています。
ほかの3つはAIの話題で出てくる別の言葉です。エコーチェンバーは同じ意見の人ばかりが集まって意見が強まる現象、シンギュラリティはAIが人間の知能を超える転換点、ディープフェイクはAIで作る本物そっくりの偽の画像や動画です。どれもAIに関係しますが、出力が誤っていることを指す言葉ではありません。
試験ごとの問われ方の違いは「ハルシネーションは試験ごとにどう問われるか」にまとめています。
問28(生成AI):「指示」と「学習したデータ」の両方がそろうか
答えはエ(自然言語で指示された内容に従って、事前に学習したデータを基に、新しいコンテンツを生成する)です。生成AIは、人が普通の言葉で出す指示(プロンプト)に応じて、学習済みのデータを基に文章や画像などを作ります。選択肢の中で、指示と学習の両方に触れ、新しいものを作ると書いているのはエだけです。
- アは「一切の学習を必要とせずに」とあり、学習済みのデータを基に作るという前提と合いません。
- イは過去のデータから相関を学び、現在のデータから将来の値を出すAIで、予測のためのAIです。新しい文章や画像を作る生成AIとは目的が違います。
- ウはシナリオどおりに動くソフトウェアロボットで、業務を自動化するRPAの説明です。決められた手順を繰り返すもので、新しいものを作りません。
どの選択肢もAIや自動化の話に見えるので、新しいコンテンツを作るかどうかで見分けます。
問80(基盤モデル):「ファインチューニング」を見る
答えはウ(基盤モデル)です。問題文には「広範囲かつ大量のデータで訓練された」「ファインチューニングなどによって様々な用途に適応できる」とあります。この2つの特徴を持つのが基盤モデルです。
アノテーションは学習データにラベルを付ける作業で、訓練されたAIそのものではありません。エキスパートシステムは専門家の知識をルールとして登録して推論するもので、大量データから学ぶ仕組みとは違います。畳み込みニューラルネットワークは画像認識によく使われる構造の名前で、様々な用途に適応させるという位置づけを表す言葉ではありません。有名な技術名だからと選ぶと誤ります。
問32(ライフログ):個人の活動の記録を指す言葉
答えはウ(ライフログ)です。問題文は移動履歴、商品の検索履歴、SNSやブログの発信データのような、個人の活動を記録する技術、またはその記録そのものを表す用語を聞いています。人の生活や活動をデータとして残したものが、ライフログです。
ほかの三つは、字面から意味を想像すると選びたくなる言葉です。アクティビティは「活動」という意味から、トランザクションは「履歴が残る」という連想から、レコードキーピングは「記録を残す」という意味から選ばれやすい選択肢です。どれも個人の活動を記録したデータを指す用語として決まっているわけではありません。問題文に例が三つ並んでいるときは、その共通点(個人の日常の行動を残したもの)を一言にしてから選択肢を見ます。
問63(データの尺度):差に意味があるか、比に意味があるか
答えはウ(時刻)です。データの尺度は名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度の四つで、何を計算に使えるかが違います。間隔尺度は差に意味がある尺度です。時刻なら、9時と10時の差も14時と15時の差も同じ1時間で、差が意味を持ちます。一方で0時は「時間がない」という意味ではなく、20時が10時の2倍という比にも意味がありません。
四つの選択肢を尺度に当てはめると、血液型は区分するだけの名義尺度、学年は順序の情報だけを持つ順序尺度です。睡眠時間は0が「ない」を表し、2時間は1時間の2倍と言えるので、比例尺度になります。「数で表せる」「時間を表す」だけで、時刻と睡眠時間を同じ尺度と読むと外します。0が「何もない」を表すか、差だけに意味があるかを見ます。
問3(官民データ):「民」には民間の事業者も入る
答えはイ(a, b, c, d)です。官民データは、国や地方公共団体、独立行政法人、民間の事業者などが、業務の中で管理・利用・提供している電磁的記録です。問題の4つ、県庁(a)、大学(b)、電力事業者(c)、独立行政法人(d)は、どれも官民データを所有しています。
誤答は一つだけ外した組合せです。「民」は個人のことだと考えると電力事業者を外し、大学は教育機関だからと外し、独立行政法人は官民データの所有者に入らないと外します。「だけを全て挙げた」という問題文から、外す理由が見つからない選択肢は外さない、と決めて照らします。
用語の説明が出る問題で、先に見るもの
問10と問80、問32は問題文が用語の説明になっています。説明から言葉を当てる問題では選択肢を先に見ず、説明だけを読んで「何の言葉か」を頭の中で言い切ってから選択肢と照らします。選択肢を先に見ると、聞き覚えのある言葉を選んでしまいやすくなります。
生成AIを業務で使うときの入力と出力の留意点は「生成AIを業務で使うときの留意点」にあります。データの質や表記ゆれの話は「データガバナンスとデータ品質」を見てください。同じ令和7年度の問題は企業活動・法務・サービス運用の12問を「ITパスポート 令和7年度公開問題:企業活動・法務・サービス運用の12問」に、情報セキュリティの11問を「ITパスポート 令和7年度公開問題:情報セキュリティの11問」にまとめています。
参考にした資料
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(確認)