PD試験 システム

PD試験(プロフェッショナルデジタルスキル試験・仮称)システム区分のシラバス案 Ver.0.2で問われる範囲

PD試験(仮称)システム区分のシラバス案 Ver.0.2を読み、科目A-2の9つの中分類と科目Bの15の小項目を数えて整理しました。今の応用情報技術者試験の科目Bとの違い、ほかの区分との重なり、サンプル6問が当たる小項目も示します。

結論:科目A-2は開発と運用に厚い9分類、科目Bは要件定義から運用までの15の小項目

PD試験(プロフェッショナルデジタルスキル試験・仮称)システム区分の出題範囲は、IPAのシラバス案 Ver.0.2(2026年6月30日掲載、2026年7月31日更新)に書かれています。当サイトが数えると、科目A-2(専門知識)は9つの中分類と45の小分類、科目B(技能)は4つの大項目と15の小項目で、技能の例は72個です。科目A-2では、システムライフサイクルプロセスと開発・運用の方法論の2分類に、小分類が16個集まっています。

今の応用情報技術者試験(AP)と比べると、違いは3つあります。科目Bの大項目に、データベース、プログラミング、情報セキュリティがありません。科目Bの小項目とその技能の例には、クラウド、SRE、AI駆動開発の語が入りました。科目A-2の用語例には、AI駆動開発の小分類と、フィジカルAIの項目が加わっています。IPAのサンプル6問は、当サイトの対応づけでは15の小項目のうち7つに当たります。

版と出典:Ver.0.2で科目A-2の知識が加わった

この記事は、次の資料を2026年10月11日にIPAのサイトから取得して読んだ結果です。

資料 掲載・公表 この記事での使い方
シラバス(案)Ver.0.2 2026年6月30日掲載、2026年7月31日更新 科目A-2・科目Bの範囲
出題範囲等の改定案 Ver.1.0 2026年3月31日 区分ごとの中分類の表
見直しの検討状況 2026年3月31日(最終更新2026年4月28日) 試験時間、出題形式、出題数、開始時期、試験制度の変遷の図
試験要綱 Ver.5.6 2026年7月6日 今のAPの科目Bの分野
APのシラバス Ver.7.2 2026年1月8日掲載 用語例の比較
サンプル問題 2026年8月31日掲載 サンプルが当たる小項目

IPAのシラバス案のページには、Ver.0.2で「目標とする知識(専門知識)」(科目A-2の出題範囲の細目)を追加した、という注釈があります。PDFに印刷されたページ番号は22までで、科目A-2の知識が2〜15ページ、科目Bの技能が16ページからです。科目A-1の用語例はこのPDFになく、共通知識のシラバス案で示すとされています(科目A-1(共通知識)とは)。

表紙には、公表時点の検討状況に基づく内容で、変更する可能性があると書かれています。この記事の数や区分も、Ver.0.2の時点のものです。

試験の形と合格率:科目A-2の23問と科目Bの12問で120分、全問必須、合格率は未発表

IPAの見直しの検討状況によると、システム区分は科目A-1が90分・60問、科目A-2と科目Bが合わせて120分で、科目A-2が23問、科目Bが12問とされています。同じページの表では、出題形式は科目A-1と科目A-2が多肢選択式(四肢択一)、科目Bが多肢選択式で、出題数の欄に「全問必須解答」の注が付いています。開始は2027年度夏頃から秋頃の予定で、すべての試験区分をCBT方式で実施する予定とされています。23問と12問を、下の中分類や大項目に何問ずつ割り振るかと、科目Bの1問あたりの設問の数は、未発表(2026年10月11日確認)です。

合格率は、まだ1回も実施されていないので出ていません(未発表、2026年10月11日確認)。参考までに、今のAPの直近の実施回(令和7年度秋期、2025年10月12日実施)は、受験者44,005人、合格者10,792人で24.5%でした(IPAの合格発表、公開2025年12月25日、2026年10月11日確認)。試験の形も範囲も違うので、この値をシステム区分の目安にはできません。今の高度試験の区分ごとの合格率は、2026年度の高度試験の申込と日程に載せています。

120分の配分の考え方はサンプル問題の一覧に、科目の分け方をほかの区分と比べた表は区分ごとの科目の構成にあります。

科目A-2:9つの中分類、開発の2分類に小分類の3分の1強

シラバス案は、全試験区分に共通する30の中分類のうち9つを、システム区分の専門知識としています。下の表は、当サイトが小分類の数を数え、中身を短くまとめたものです。

中分類 小分類の数 中身(当サイトの要約)
2経営戦略・デジタル戦略 3 デジタル戦略、情報システム戦略(システム化計画、要件定義、調達を含む)、エンタープライズアーキテクチャ
13デジタルサービス・デジタルツール 2 業務・製造・ECのシステム、組織のデジタル環境
14システムの種類・構成 4 サイバーフィジカルシステム、IoT・組込み、プロセッサとメモリ、システム構成と信頼性設計
15クラウド 2 可用性と継続性、コスト管理、クラウド移行、仮想化とコンテナ
16ネットワーク 5 通信方式、プロトコル、モバイルとIoTの通信、運用管理
17データベース 5 データモデルと設計、トランザクション処理、分散データベース
20システムライフサイクルプロセス 8 要件定義、設計、実装、テスト、導入、運用、保守・廃棄
21開発・運用の方法論 8 アジャイルとDevOps、設計手法、開発ツール、Webアプリケーション開発、AI駆動開発、フィジカルコンピューティング、OS
26セキュリティ実装技術・評価 8 セキュアプロトコル、認証・認可、OS・ネットワーク・データベース・AI・アプリケーションのセキュリティ、評価基準

45の小分類のうち16個が、中分類20と21にあります。PDFでも、この2つは7ページから14ページにまたがっています。9つの中分類の説明文は、どれも「専門的な知識を問う」で結ばれています。改定案 Ver.1.0の表でも、9つすべてに「専門分野かつ重点分野」の印が付いています。情報処理安全確保支援士試験(SC)のシラバス案は、科目A-2を「専門知識」と「その他の知識」に分けていますが、システム区分のシラバス案にこの区別はありません。

中分類20・21:テストとリリースの語が細かく、運用はSREの指標まで

中分類20の用語例は、開発の工程の順に並んでいます。テストでは判定条件網羅やミューテーションテスト、導入ではカナリアリリースやブルーグリーンデプロイメント、保守ではFTA・FMEA・STAMP/STPAといった解析技法が挙がっています。

中分類21には、DevOpsの項目にSRE、エラーバジェット、DORAメトリクス、オブザーバビリティが並び、設計手法にはドメイン駆動設計とCQRSがあります。小分類6は「AI駆動開発・AIプロジェクト」で、バイブコーディング、仕様駆動開発、LLMOps、AIBOMが用語例です。小分類7の「フィジカルコンピューティング」には、信号処理や半導体と並んで、フィジカルAIの項目があります。

今のAPのシラバスに見つからなかった語

当サイトが、案 Ver.0.2と今のAPのシラバス Ver.7.2のテキストを、語で検索して比べました。案にあって Ver.7.2に見つからなかった語のうち、目立つものを挙げます。

分野(当サイトの整理) 案で目立つ語 案のPDFのページ
AIを使った開発 バイブコーディング、エージェンティックコーディング、仕様駆動開発 13
AIの開発と運用の管理 LLMOps、AIBOM 13
フィジカルAI 世界モデル、ロボット基盤モデル、Sim to Real Gap 14
クラウドの費用と移行 FinOps、Rehost、ランディングゾーン 5
運用の指標と進め方 エラーバジェット、GitOps 11、12
設計とAPI CQRS、GraphQL、イベントストーミング 12、6、2

ページはPDFに印刷されたページ番号です。DORAメトリクスの語も Ver.7.2に見つかりませんが、案が同じ項目に挙げているFour Keysは Ver.7.2にあります。SRE、DevSecOps、マイクロサービスアーキテクチャ、オブザーバビリティ、カオスエンジニアリング、SBOMは、今のAPのシラバス Ver.7.2にもあります。中分類26の小分類6「AIセキュリティ」にはプロンプトインジェクション対策が挙がっていますが、プロンプトインジェクションの語そのものは Ver.7.2にもあります。

上の表のうち、世界モデル、ロボット基盤モデル、Sim to Real Gap、FinOps、Rehost、ランディングゾーン、GitOps、CQRS、イベントストーミングは、科目A-1(共通知識)のシラバス案 Ver.0.1にも見つかりませんでした。科目A-1のシラバス案 Ver.0.1の用語例にはない語なので、科目A-2の準備で覚えることになります。科目A-1と科目A-2の深さの違いは、システム区分の学習計画でクラウドを例に比べています。

ほかの区分との重なり:SCと5分類、データ・AI区分と2分類、マネジメント区分と1分類

改定案 Ver.1.0の表(18ページ)と各区分のシラバス案から、システム区分の科目A-2の中分類が、ほかの区分の科目A-2と重なる数を当サイトが数えました。

比べる区分 重なる数 重なる中分類
SC(10分類) 5 ネットワーク、データベース、システムライフサイクルプロセス、開発・運用の方法論、セキュリティ実装技術・評価
データ・AI区分(8分類) 2 クラウド、データベース
マネジメント区分(8分類) 1 経営戦略・デジタル戦略

データ・AI区分の行は、シラバス案が準備中のため、改定案の表によるものです。SCのシラバス案では、ネットワークとセキュリティ実装技術・評価が専門知識で、残りの3つは「その他の知識」として「応用的な知識を問う」とされています。用語例は区分ごとに書かれているので、中分類が同じでも範囲が同じとは限りません。たとえば経営戦略・デジタル戦略は、マネジメント区分が小分類1〜4を載せているのに対し、システム区分は小分類2〜4で、小分類1の経営戦略がありません。

アルゴリズム・プログラミング(22)、AI技術(18)、セキュリティの脅威・マネジメント・対策(23〜25)は、システム区分の科目A-2に入っておらず、科目A-1だけの範囲です。改定案の表で、アルゴリズム・プログラミングとAI技術を専門知識にしているのは、データ・AI区分です。

科目B:4つの大項目と15の小項目、技能の例は72個

科目Bの範囲は、4つの大項目と15の小項目に分かれ、小項目ごとに「目標とする技能の例」が箇条書きで並びます。下の表の数は当サイトが数えたもので、大項目の名前はシラバス案の表記を短くしました。

大項目 小項目・技能の例の数 サンプル問題(当サイトの対応づけ)
1システムアーキテクチャ 5・21 問1(1-2)、問3(1-5)
2ネットワーク 3・21 問4(2-1)、問2(2-2)
3フィジカルコンピューティング 3・10 問5(3-1)
4システムの開発・運用 4・20 問6(4-3)、問2(4-4)

技能の例は、大項目1と2に21個ずつ、大項目4に20個あり、大項目3は10個です。小項目の分け方で目を引くのは大項目1で、アーキテクチャ設計が、クラウドサービスを使う場合(1-4)と、IoTを含む組込み・制御システムの場合(1-5)の2つに分かれています。大項目4の最後の小項目(4-4)には、運用管理とSREが入っていて、開発だけでなく運用も科目Bの範囲です。

技能の例は「設計」が18個、「評価」が12個、「選定」が7個

72個の技能の例の文だけを取り出し、その語を含む技能の例が何個あるかを当サイトが数えました。小項目の名前は数に入れていません。「設計」を含むものが18個、「評価」が12個、「選定」が7個、「クラウド」が6個でした。「提案」は4個で、クラウドを使う設計の小項目(1-4)に2個、開発手法(4-3)と開発プラットフォーム(4-4)の小項目に1個ずつあります。

設計・評価・選定のどれかを含む技能の例は、72個のうち29個です。要件や制約に照らして構成・機器・手法を選ぶ判断が多く入っていると、当サイトは読みました。サンプルでも、問3は、電池で動く、1時間ごとに送るといった機器の制約から方式を決める問題でした。マネジメント区分の技能の例は、86個すべてが「ために」の語を含みます。システム区分で「ために」を含むのは72個のうち16個で、書き方にも区分の違いが出ています(マネジメント区分の出題範囲)。

サンプルのない8つの小項目には、クラウド移行とフィジカルAIが入っている

サンプル6問が当たらない小項目は、1-1、1-3、1-4、2-3、3-2、3-3、4-1、4-2の8つです(当サイトの対応づけ)。このうち1-4は、今あるシステムをクラウドへ移す提案を扱います。3-3は、ロボティクスとフィジカルAIを導入するときの課題の検討を含みます。どちらも、どんな事例と設問になるかは、サンプルからは分かりません。8つの小項目の補い方は、システム区分の学習計画に練習の案を書きました。

今のAPの科目Bと比べる:データベース、プログラミング、情報セキュリティの大項目がない

今の試験要綱 Ver.5.6では、APの科目Bの分野は13あります。情報セキュリティの問1が必須で、問2〜11の10問から4問を選び、合わせて5問に答えます。この13分野を、システム区分の科目Bの大項目と名前で突き合わせました(当サイトの整理)。

今のAPの科目Bの分野 システム区分の科目B(案)での扱い
システムアーキテクチャ 大項目1
ネットワーク 大項目2
組込みシステム開発 大項目3(フィジカルコンピューティング)
情報システム開発 大項目4
データベース 大項目なし。機能要件の小項目(1-2)に「データ構造の設計を含む」とある
プログラミング(アルゴリズム) 大項目なし
情報セキュリティ 大項目なし。非機能要件(1-3)と、ネットワークセキュリティ技術の適用(2-1)に入っている
経営戦略、情報戦略、戦略立案・コンサルティング技法、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査 大項目なし。マネジメント区分の科目Bの大項目と名前が近い

改定案 Ver.1.0では、データモデルの作成、SQLによるデータの操作、擬似言語によるデータ構造とアルゴリズムのプログラミングは、データ・AI区分の科目Bの範囲です。システム区分のシラバス案には、擬似言語の語が出てきません。APの科目Bでデータベースやプログラミングの問題を選んできた人は、同じ分野の大項目がシステム区分の科目Bにない点を、区分を選ぶ前に確かめておくと安心です(当サイトの見方)。

小項目の名前と技能の例に入った語のうち、SRE、CI/CD、DevSecOps、AI駆動開発、マイクロサービス、モダナイゼーション、ロボティクスは、試験要綱 Ver.5.6のテキストに見つかりませんでした(当サイトの検索)。近い語では、「ロボット」と「DevOps」が要綱にあります。今の高度試験では、システムアーキテクト試験、ネットワークスペシャリスト試験、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の科目B-1・科目B-2の範囲に、要件定義、ネットワークシステムの設計・構築・運用、ハードウェアとソフトウェアのトレードオフといった、システム区分の小項目と近い言葉があります。

IPAの見直しの検討状況のページにある「試験制度の変遷」の図では、この3つの試験と応用情報技術者試験から、システム区分へ破線の矢印が引かれています。ITサービスマネージャ試験からも、マネジメント区分への線とは別に、システム区分への破線が出ています。ただし、矢印が何を意味するかと、範囲や免除の対応を説明した文章は、図にもページにもありません(2026年10月11日確認)。上の表は、名前の近さを当サイトが並べたものです。試験時間と出題数の違いは、APを受けるかPD試験を待つかの判断表にまとめています。

まだ分からないこと:問題数の配分、合格基準、経過措置の中身

次の項目は、IPAが未発表です(2026年10月11日確認)。試験日と申込方法、受験手数料、合格基準、科目A-2の23問と科目Bの12問の分野ごとの配分、科目Bの1問あたりの設問の数、科目A-1・科目A-2のサンプル問題、シラバスの確定版の時期です。今の高度試験やSCで一部科目の免除の要件を満たした人への経過措置は「検討」とされていて、対象の科目は書かれていません。

サンプル6問はサンプル問題の一覧から1問ずつ解けます。新制度全体の日程は移行ガイドにまとめています。

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